第6話 幼馴染はイチャイチャがしたい

俺の幼馴染であり、彼女でもある陽葵との同棲生活が始まった。


家族全員で仲良く夜ご飯を食べた後、俺と陽葵はお互いの自室に向かおうとしていた。


「まだ二人とも高校生なんだから、あんまりイチャイチャし過ぎないようにね〜」


「うるさいなぁ、しないから」


陽葵が俺の家で暮らすことが決まった途端、家族みんなが俺らの事をからかってくるようになった。


正直、めちゃくちゃむかつく。


イラッとする気持ちを押し殺し、二人で二階に行った後、俺の隣の空いている一室に陽葵を案内した。


「陽葵はこの部屋使って、俺は隣の部屋にいるから何かあったら呼んでな」


俺はそう言って、空き部屋改め、陽葵の部屋から出ていこうとする。その時だった。


「ねぇ…イチャイチャしないの?」


「!?」


「いいよ?私はゆうくんとイチャイチャしたいな♡」


戸惑っている俺に、突き刺さる陽葵の一言。


「んー…、また後でな!」


俺はヘタレだった。


残り僅かな理性を保ち、自室に逃げるように陽葵の部屋を出た。





自室に戻った俺はしばらく放心状態でいた。


「え?本当に陽葵だよな?あいつ…」


今まで陽葵のあんなに女性らしい、しおらしい表情と雰囲気を感じたことが無かった。


一緒にお昼ご飯を食べた時でも、あんな表情はしていなかった。


なんと言うか…すごいエロかった。


しかし、それ以上に俺は自分のヘタレさに失望していた。


陽葵の方からイチャイチャを望んでくれているのに、俺はそんな気持ちより自分を優先してしまった。


「はぁ……何やってんだよ…俺…」


一緒にお風呂に入ったとはいえ、お互いに水着を着てたわけだし、それに、まだキスもした事ないし……


『私はゆうくんとイチャイチャしたいな♡』


陽葵からの刺激的な一言がフラッシュバックする。


そうだ、イチャイチャしないといけない。彼氏として、しっかりと陽葵の気持ちに応えてあげないといけない。


決意した俺は、自室を出て陽葵の部屋の前に立つ。


心臓がいつもより速く脈打っている。彼女の部屋の前にいるだけなのに。


コンコン


俺は覚悟を決め、ドアをノックする。


「入ってもいいか?」


「ゆうくん?いいよ」


俺はドアを開く。部屋にいた陽葵はお風呂上がりだったのか、まだ少し髪が濡れていて色っぽく見えた。


「座ってもいいか?」


「うん」


俺と陽葵はテーブルに向かい合って話をする。


「実は、お願いがあってさ…」


「ん?何?どうしたの?」


「その…やっぱり、イチャイチャしようかなって…」


「ほんとに!?私もちょうど同じ事考えてた!」


「えぇ!?」


なんと陽葵も俺と同じ事を考えていたらしい。


「ゆうくんからイチャイチャしたいって言ってくれるの…すごい嬉しい♡」


しかし、お互いがイチャイチャしたいとはいえ、どんな事をすればいいのか分からない。


何をするか悩んでいた時だった。


「ねぇ、キスしない?」


急に陽葵から衝撃的な提案をされた。


「だめ……かな?」


上目遣いで陽葵がお願いをする。そんな風に言われたら、断れる訳無いじゃないかよ!

まあ、元から断る気ないけど。


「ああ、いいよ」


俺は陽葵の目の前に行った。


真っ直ぐに陽葵と見つめ合い、そして


柔らかな陽葵の唇が、俺の唇に触れた。


予想以上に柔らかい唇に驚いたが、かなり長い時間、唇を重ねた。


「……キス、しちゃったね」


陽葵は幸せそうに唇を撫でる。


「ありがとうな、陽葵」


「え?どうしたの?ゆうくん」


「いや、好きな人とキスが出来て…幸せで…

思わずありがとうって言っちゃった」


「ううん、こちらこそありがと、あ、最後に一つだけお願いしてもいい?」


「ん?なんだ?」


「私のこと、ぎゅってして?」


「ああ、いいよ」


俺はそっと優しく陽葵を抱きしめた。


抱きしめた陽葵の体はとても柔らかくて、女性的だった。


「ゆうくん……大好き」


「俺もだよ、陽葵」


なんだかんだ、俺たちは無事イチャイチャすることができた…のかな?

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