第4話 幼馴染と食べるお昼ご飯
幼馴染であり、彼女である陽葵との一日だけの同居生活が終わった。
その翌朝、俺と陽葵は一緒に学校に向かっていた。
「今日は裕太のためにお昼ご飯作ってあげたから楽しみにしててね〜」
「おう、楽しみにしてる」
そう言うと陽葵は満足そうに微笑んだ。その顔が可愛くて、思わず見とれそうになる。
そんな話をしていると、いつの間にか学校に着いていた。
ガラガラ… と教室に入る。
「みんなおはよう」
陽葵が挨拶をすると、男女問わずクラスの皆が陽葵に元気に挨拶をする。
正直、陽葵は幼馴染とか彼女とか関係無しに完璧美少女だと思う。勉強も出来るし、性格もいい。
おまけに、胸も大きい。
「おはよう、裕太」
挨拶をしてきたのは、友達の中でも特に仲のいい親友である川島拓真だ。
「ああ、おはよう」
「なに、今日はあんなに可愛い幼馴染と登校しちゃって〜、何かあった?」
こいつは恋バナとかそういう話題にはとにかく敏感だ。というか、勘がいい。
おまけにこいつは俺とは違い、陽キャ側の人間だ。何で俺が自分と正反対なこいつと仲がいいのか、俺もよく分からない。
「ああ、今日はたまたまな」
俺と陽葵が付き合っていることはまだ言わない方がいいと思った俺は、曖昧な返答をして誤魔化す。
「ふ〜ん、でもさ、幼馴染とか関係無しにぶっちゃけあの身体、めちゃくちゃにしたいとか思わないのか?」
「お前なぁ…」
拓真はいやらしい笑みを浮かべて俺に質問する。こいつはデリカシーが無いから嫌なんだよなぁ。
「で、どうなの?ホントの所は」
「んー、でもあんまりそういう気持ちは無いかな」
「お前、本当に男か?まあ、お前の口から下ネタ聞くこと無いもんなぁ」
「まあ、言ってないからな、お前と違って」
そう言いながら俺は、冷たい目で拓真を見つめた。
「おいおい…そんな冷ややかな目で見んなって…どうせ他の男も俺と同意見だって」
そう言って、拓真は他の男子の方に向かっていった。
◇
そこから時は流れて休み時間。
俺は陽葵と二人で弁当を食べていた。
陽葵の作ってくれたお弁当を口に運ぶ。
「うん、美味い!」
「ほんと!?よかった〜」
「わざわざ作ってくれてありがとうな」
「ううん、私が裕太に作ってあげたかっただけだもん」
「いや〜、こんなに美味い弁当をこれから毎日食べられるなんて、幸せだよ」
「も〜、大袈裟だな〜ありがと」
しかし、このまま陽葵が俺に尽くしてくれるのは嬉しいが、俺も陽葵に何かしてあげたい。
「なあ、陽葵」
「ん?なーに?」
「なんか俺、陽葵に何かしてあげたいなーって思ってさ、何かして欲しい事とかある?」
「んー、じゃあ、一つお願いしてもいい?」
「おう、何して欲しい?」
「その…あ〜ん、して欲しいな〜…って」
「!?」
少し頬を赤くしながら陽葵は俺にお願いをする。何?この幼馴染。めちゃくちゃ可愛いじゃないかよ!
「分かった、じゃあ、何食べたい?」
「んー、じゃあ裕太が食べてる途中の卵焼きが食べたいな!」
「あぁ…って、え!?」
予想外のリクエストに動揺を隠せない。
「…だめ?」
「いやいや、いいぞ?食べてる途中のやつでいいなら…」
「うん!ありがと!」
「じゃあ、は、はい、あ〜ん」
俺は陽葵の口に卵焼きを運ぶ。
初あ〜んだったからか、若干緊張してしまった。
ていうか、これちゃっかり間接キスしてるよね?卵焼き経由で間接キスしてるよね?
「うん!いつもの卵焼きよりも美味しい♡」
卵焼きを食べた陽葵は、いつも以上に満足気に笑顔を浮かべていた。
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