第2話 『京都市役所大火』

嵐山の怪奇事件から数ヶ月後の2月3日の事。


世間は怪奇事件を忘れ元に戻った頃、再び"Mr.K"は現れる。


昼下りの御池通で不審者がいるという一本の通報が府警に入った。


府警はまだこの通報が悪夢へと進むとは知らず…


男は市役所広場で足を止め市役所の庁舎を眺めた後、庁舎へ入り一発銃を発砲した。


役所内は騒然とし、施設内は警報ベルが鳴り響く。


それでも尚男は逃げる素振りを見せず、手にぶら下げた一斗缶の蓋を開け、ひっくり返した。


一斗缶からは、ガソリンが流れ出し市役所内はガソリンの臭いで充満し始めた。


その後男はマッチを取り出し火をつけ床に落とした。


マッチの火はガソリンに引火し、役所は時間が経たないうちに火の海と化した。


その後府警と消防車が到着し、沈下作業が行われた。


府警は犯人の男を捜索するが、既に付近には姿はなかった。


すると1人の消防士が、役所の外にナイフで刺さった紙切れを発見する。


府警の警官が確認してみるとやはり"Mr.K"が残した紙切れだった。


そこにはこう書き記されていた。


"私は戸籍のある人間が憎い。だから市役所を燃やした。此れは人権有る者に判らない。"


と、憎しみを書き綴ったものだった。


府警は一度紙切れから指紋を採取し犯人(Mr.K)を特定できないか試みるが、紙切れには一切指紋は見当たらなかった。


今回の事件ではMr.Kからの次の予告状らしきものは無く、1ヶ月もの間足取りをつかめず仕舞いになってしまった。


今回の京都市役所大火では、市役所のみならず近隣の民家にも延焼。


死者は殺人事件では最凶の396人が死亡。

のち150人は重軽傷を負った。

近くを走っていた市電の車両にも飛び火し、車両2両が被災した。

幸い市電に乗っていた乗客や乗務員は無傷で済んだ。


この市役所の放火事件で府警は最大の救済の遅れの過失として、府警署長と現場に急行した警官10人が辞任を迫られた。






To Be Continue…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る