Mr.Kの未解決事件

神羽源次

第1話 『嵐山渡月橋事件』

1935年12月31日


凍える寒さの嵐山では雪がちらついていた。


大晦日とあって、近くの野間神社への参拝者が多く訪れていた。


近くの渡月橋も人が多く、新年を待ちわびる人たちで賑わっていた。


桂川の流れは人声に消され、せせらぎは聞こえない。


そんな新年の10分前に悲劇は起きた…


桂川の河川敷から、甲高い銃声が鳴り響いた。


人々はその銃声に驚き逃げ惑っていた。


近くを警戒していた警官が河川敷に降り見渡すと2人の男女が地面に横たわっていた。


警官が生存を確認するが脈は無く、生き絶えていた。


すると警官がナイフが刺さった奇妙な紙切れを見つける。


その方には血塗りでこう書き記されていた。


"明日明朝6時に京都の駅舎にて2人の若組の男女を襲撃する。Mr.K"


紙切れには次の犯行予告が書き記されていた。


警官は紙切れを手に取り近くの店で所轄の警察署へ連絡した。


その後所轄の警官が駆け付け、被害者の身元確認が行われた。


警官が発見した紙切れだけでは、犯人の特定は到底不可能。


京都府警は明日の犯行現場となる京都駅に警官を配備し、犯人確保を試みることに。



翌日1926年1月1日-


警官は作戦通り、京都駅の改札や駅入口に配備された。


そして犯行時刻の10時になり警官が周りを警戒していると、八条口から銃声が響く。


警官が駆けつけるがまたもや一足遅かった。


予告通り、男女2人が襲撃された。

昨日の嵐山と同じく2人の近くにはナイフに刺さった紙切れがあった。


新しく発見された紙切れには、犯行予告で無くアルファベットが無造作に書かれた暗号らしきものが見つかった。


直ぐに鑑識に解読を依頼し、なんとか解読に成功した。


暗号にはローマ字読みでこう書き記されていた。


"WATASHIWO.TSUKAMAERARENAI,MANUKEDOMOWA"

(マヌケ共は、私を捕まえられない。)


と警察を侮辱する文面が書き記されていた。


これを見た京都府警本部の署長は歯を立て、机を叩いた。


署長は声を張り上げ、警官に捕まえなければ首が飛ぶ覚悟で何としても"Mr.K"を逮捕するよう言う。


だが府民も警察もこれから残酷へと進む今をまだ知らない…


もっとも、京都府警もこれで収まると誤算していたのか、この後痛い目に合うことを知る由もないだろう。




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