第4話


 彼女たちの長い説明で、ようやく自分の置かれた状況が、なんやかんや分かったような気がする。


 まず、ここは異世界ではなく、ヴァネットシドルという世界らしいが。こっちからすれば異世界だと言うと、翡翠髪の女性は静かに頷いた。


 彼女の名はファロリート・エギュベルというらしい。転生した者はエンシェントクランと呼ばれ、魔法を使えない代わりに魔法が通じない。


 だから小さい女の子は身体を、焼いてみて確かめたのだという。そんな理由でお見舞いされるとは、やはり異世界は何もかもがスケールが違うと思った。


「ちなみに、さっきの竜はドラゴンなんかではなく蛇の一種だ」


 翡翠髪の女性、ファロリートの言葉に気を失いそうになった。


 あんな蛇が居てたまるかよ。仮にあれが巳だとしたら、前の辰の立場ってもんが無いじゃないか。


 聞いてみるとドラゴンは、あれの数倍は大きいのだとか。何もかもがスケールの大きい世界だって思った。


「とはいえ、この地でもドラゴンは伝説となっているから安心していいぞ」と笑ったが、何の気休めにもならなかった。


 それでも魔法が効かないというのならば、少しは他人より優位に立てるのかとも考えた。


 異世界転生ってのは、たいていチートな特殊能力がついているんだ。一応ちゃんとチーターにはなれているんだから、まぁ良しとしよう。


 竜人の男はブルガリートと言う名前で、爬虫族の獣人だと説明がされた。


 この世界はエルフだのゴブリンは居ないが、見た目が獣の人間はわんさか居るのだという。やはりファンタジーちっくな世界なのか。


「……というか、お前。えっと、名はなんという?」


 まだ自分が自己紹介していたのに気づかなかったから、偽名とか考えてみてもいいかと思った。けど、やめた。日本人ってバレている以上、妙な真似をすべきではないと思った。


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