僕が死んだ世界
暗闇に、光が差してきた。朝日だ。
しかし、辺りには陰鬱な空気が漂ったままだった。いつもならさえずり、鳴き、吠え、走り出す生命の目覚めが見られない。
その子は、泣き続けていた。周りの者も、声をかけることすらできないでいる。
その手には、薄れゆく光の玉。やがてそれは、弾けて消えた。
「いつまでもこうしていても仕方ない。セルリアンは倒した。私たちは生きている。これからも生きていく。そうだな」
「ああ」
あちらこちらで、同意の声が上がる。戦勝の喜びなどない。一人、また一人と姿を消していき、そこには泣き続ける女の子一人だけが残った。
「サーバル!」
呼ばれても、視線を上げすらしない。
「ごめんなさい、間に合わなくて」
カラカル、と呼ばれた子だった。
「サーバル!ほら立って!こんなことは、今までだって、何度もあったでしょ!死ぬことなんて、珍しくもない。私だって、あんただってそのうち死ぬ。でもね、生きてる間は生き続けなきゃいけないでしょ!」
手を引かれても、サーバルは立ち上がろうともしなかった。業を煮やして、カラカルはサーバルを担ぎ上げると、ずんずんと歩き出した。
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