〜最後の命令〜

白命はその場に倒れこみながら絶望の淵にいた


「どうしてこうなったのだろう」

ただその疑問だけが頭を支配し


あちらこちらで崩壊する光景を見つめていた


世界中の人による破壊活動で

目の前はビルを含め全てが崩壊し

あちらこちらで火が立ち込む。


自殺や殺し合いによって

警察も消防も今となっては機能をしない。


都会だったその場所もビルは傾き更地と化した荒野だけが広がる


「だれか、誰か生きてる人はいないかな」

そんな都会から白命は逃げるように歩き始めた


少し歩いたところで白命は

「一体なにがどうなってるんだ」

そう呟くように叫んだ

昔は綺麗な森が埋め尽くしていたであろう山、それが今は焼け落ち砂山と化していたのだ


そんな光景をみて歩き続けて知ったのは

ただただ崩れゆく世界の姿

そして周りには人はもうほとんどいないことだった


世界の人は全員死んだ

そうとしか思えないほど世界はめちゃくちゃだった


地球自身も限界を超えたのか、地中から怒りの声が鳴り響くかのように溶岩を噴き出し一面を焼き払う


結果的に地球はその青さも緑の輝きもなくした

今は明るい光の色さえなくなってしまった


溶岩があらゆる所から噴き出したことで

海の水は干上がり虫も動物も少しづつ死んでいく、雨も二度と降ることはないだろう

日に日に上がる気温の中で、地面は熱を帯び始めてきた


辺りを見渡しても壊れた世界と

焼けて溶けた人や押しつぶされた人

殺された人に自殺した人

そんな死体ばかりだ


今のこの世は地獄よりも地獄だと思う

周りにあるのは死体の山と見る形もなくなった荒れ果てた場所だけ


「一体なぜこんなことになったんだろう。

なにがいけなかったのか」


そう呟いた所で世界は変わることはなかった

ただ世界のどこにも逃げ場はなく、自分を含めた全ての命に終わりがある事を告げる


そんな絶望の中歩き続けていた白命はまだそれほど壊れていない村を見つけた


「こんなにも原型をとどめた村があるなんてな、なんの冗談だろうな」

そう呟きながら中に入るといきなり取り押さえられる


白命は驚きを隠せなかった

こんな世界に生き残りがいるなんて考えられなかったからだ

その驚きとともに1つの希望が見えた気がした

生きてる人がいるならまだ世界はやり直せる

「もしかして、君たち生き残りなのか

なんだよ、生きてる人はいるんじゃないか」

そう言いながら彼らをみて白命は

その声をあげるがすぐにその声が小さくなっていく


「あれ、でも見たような顔が…

もしかして…」

そう言葉に詰まった時、彼らの1人が口を開く


「そうですよ

僕らは謎の少年の声により集まった者です

世界にいる、人を信じない人を集めて作った

唯一テロの言葉に逆らえる者たちの集団…

だった、まー生き残りですね」


と笑いながらそのどこかで聞いた事のあるフレーズをいう

それを聞いて白命は知った

〝リスト教団が作った楽園計画を止めるときに、自分に手を貸してくれたあの組織の人たち〟だと

「そうか、君たちはテロの暗示にかからないから」

そう呟きながら


「それならもしかして、まだ生き残りが居るかもしれないな」

と口から溢れる

それを聞いていた1人が口を開く

「それはないよ、だって生き残りは僕らはだけだから」


それを聞いて訳がわからなかった

それに気づいたのかその1人が説明をしてくれた

「これは確かな情報だよ、だってこの情報を教えてくれたのはあの〝少年〟だからね」


と答える

〝少年〟そう彼らが呼ぶのは1人しかいない

世界で初めの神様になった〝テロ〟である

彼は世界全てを見ることが出来る、つまりその少年が言ったなら

それが信じられない、いや信じたくない事実でも、真実だと言わざる終えない現実だと言える


白命はその話を聞いて本当の意味で絶望し、崩れ落ちるようにその場に倒れこんだ

歩き続けて何も飲まず食わずで数日

気力も底をついていたのだろう

そこに追い討ちをかけるように絶望的事実

白命はすでに限界に来ていた


深い眠りについた白命はそこで白い空間にいた

「・・・ここは、どこだ、、、」

そう呟くと目の前が急に光1人の少年が現れた

そこにはあの少年〝テロ〟がいた


彼は少し寂しそうで残念そうな表情を浮かべ

悲しいような口調で答える

「ここまで来てはもう終わりだよ白命…

もう世界は救えない…


たとえ、崩壊を突き進む世界を変えるために、この世界でまだ生き残っている人の力を借りても、噴火した火山などを止める力には足りない


結局、今の状態では君は無力だ

昔の僕と同じでねだから、、、


そんな君の選べる未来は二つ

世界をこのまま崩壊させるか、残った全員の力を借りて最後の命令で全てをリセットするかだ


僕は崩壊させた、だからリセットしてどうなるか分からないけど

もしうまくいけば何もかもリセット出来るかもしれない

逆にリセットされないかもしれない


それは分からないけど、僕の中で力を使ってどうにかするなら、選択はその二つだけだよ」

それを言い終えたテロに白命は

「僕はどうしたらいいのかな」

そう呟いたがテロは何も答えることなく消えた


「待って」

と言う声で伸ばした手をみて夢から覚めたことに気づく

白命は取り敢えず夢を組織の人たちに話した

「と言うことがあったんだ

僕はどうしたらいいんだろうね

ハハハ」

そう元気のないような口調で説明を終えると

まわりにいる組織の人は


「顔あげなよ、崩壊かリセット、、、

それならリセットをすればいい

僕らの力がいるならかすから、世界をリセットしてくれよ


賭けかもしれなくてもいい

だってどうせ、このままなら崩壊する前に死ぬだけだしな」


と言う、どうやら全員一致でリセットをしてくれと言う目をしている

「本当にいいのか」

そう聞くと〝何を今更〟と言う顔で全員が白命に目を向けている

「・・・わかった」

そう告げ終えると白命は暗示をかけて、そこにいる全員に向けて叫んだ


「世界よ、リセットされてくれ」

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