〜希望〜
「報告いたします」
そう元気よく答えながらも虫の息の彼は、それでも答えようとする
白命たち若い者は、もう助からないと知りながらも彼を助けようとするが、その横から白命を仲間として受け入れる為に声をかけてくれたあの老人が出てきた
「もう彼はダメなのだろう、なら最期くらいは彼の生きた証を残してやるべきだ」
そう告げると白命も含め若者連中はその手を止め一斉に黙る
それに対して重症を負った彼は
「ありがとう、おじいさん、実は…」
と命をかけて調べてきた情報を全て話はてくれた
話し終える頃には彼は息を引き取ったあとだった
白命は彼をせめて埋葬しようとしたが止められれた
「なんで止める」
そう突っかかるように聞いた
そんな僕にひとりの若者が答えてくれた
彼いわく組織では死人を埋葬する事はしないらしい
なんでも埋葬するよりその人の生き方を、価値を確かに受け継いでいくからだそうだ
それに死んだときに、跡形もなくなる人も居るから平等に扱うためだと言う
変わってると思うが、確かに彼の意思は全員の心に届いたらしい…
彼の持ち帰った情報は、内容こそ本当にどうでもいいような事だった
しかしその情報はこの先の局面では大きく大切な、そしてとても貴重と言えるものだった
彼の持ち帰った情報は簡単に説明すると
リスト教団が一枚岩でなく、リスト幹部に疑問を持つものがいるというものだった
もっと細かく言うとリスト教団には、犯罪者の親族以外の人が6割を占めていると言うものだった
その情報は確かに無価値に近いような情報だ
誰もが命をかけてそれを持って帰った若者の情報の内容を聞いてお先真っ暗、そう感じている
そんな中ひとりの女が声を上げる
「その情報を持ち帰ろうとしたあいつはなんで殺されないと行けなったんだ
あんなどうでもいい情報をわざわざリスト教団の連中が守る必要はあるのか」
それを聞いた1人が何かに気がついたのか
「おい、もしかしたら、この情報をリスト教団が漏れることを恐れていたとしたら、この情報は使い方次第で彼らの脅威になると言う事だ
この情報を突破口としてリスト教団を裁く事は出来ないか
だれか、何か気がついたら話し合おう」
と言い放つと影に隠れるようにいたひとりの子どもが声を上げる
「さっきから聞いてたら、難しく考えすぎだよ〜
今世界のほとんどは死に絶えたりしてるんでしょ〜
ならそのリスト教団にいる6割に〜
もしテロの神様の力を本当と誤認されられたら、能力を消滅される作戦、実行出来るんじゃないの〜」
それを聞いた組織の全員は言葉を失った
その考えが上手くいけば確かにリスト教団、いやそれ以上の全ての国民の力を無効化できる可能性が出てきたからだ
「もし本当に、持ち帰ってきた情報が正しくて、リスト教団に6割以上の人が、白命、いやテロの神様を信じ込んだら
僕らの作戦勝ちだ」
そう言葉に出して言った言葉に周りも目に光を灯し
「いける、そうだ、それならいけるぞ」
と口々に答えた
それからみんなで作戦を考えた
作戦が出来上がるとその前準備として、リスト教団の全員との会談の機会を作った
もちろんリスト教団幹部や犯罪者関係者の親族たちを除いてである
その会談を利用して白命はそこにいる全員に暗示をかけた
暗示に使ったのはテロの力がまだ健在であると言うものだった
方法は会談に集まったリスト教団全員に能力の実践を見せたのだ
案の定、それを見たリスト教団の全員は白命がまだ、テロの神様であると信じ込み、その力も残っていると騙すことができた
その前準備をしたことにより、白命はそ子に集まったリスト教団の人限定ではあるが一応、テロの地位を取り戻すことができたのだった
そこに完全に力を取り戻す最後の仕上げをし始める
まず信じ込んだリスト教団6割の人全員に白命はこう話した
「私の言葉は全てが真実になる
しかし教団の一部は私を罠にはめ、それだけには飽き足らず、私の地位を奪い去った
お陰で私は昔のような力を今保有していない
しかし私はそれでも良かったのだ
私の代わりにリスト教団が立ち上がり世界を幸せにしてくれるなら…」
そこまで話すと涙を浮かべ少しの沈黙が流れる
もちろん涙も嘘泣き出し、沈黙も計算されたものだ
それを知らないリスト教団の全員は、それに想いを重ねるように心が揺り動かされていた
〝暗示の心得その1、感情は人に暗示をかけやすい最も上等の手段である〟
とはこのことを言うのだろう
お陰で白命の言葉に一切疑う余地もないまま、その感情に共感した彼らは、今から放つ言葉にも自然に共感し、それを真実と思い込むことだろう
白命もこんな人を騙す暗示はしたくなかったが、手段を選んではいられない事は分かっていた
そこまでした白命はその暗示を使いこう彼らに伝えた
「彼らはそんなそんな私の心を踏みにじるように世界を消そうとしたのだ」
結果はさっきも解説した通りリスト教団6割の人全員に暗示として信じ込ませる事が出来た
「罪悪感しか今は湧かない
昔の自分はこんな事を平気でしたのだな」
リスト教団との会談が終わりそうこぼすと
「本当に暗示とは怖いね〜
まるで悪魔の囁きみたいだったよ」
と笑顔であの子どもが告げる
〝確かにそうだ〟と思ったが白命は
「それでもやらないといけないのだよ
だから僕は魔王にだってなるさ
この〝テロの神様〟を背負ってね」
と言いその場を去るように歩き始める
前準備をこうして終えた白命は、組織とリスト教団の協力によりテレビ局を占拠した
こうして全世界に生中継で白命は発言できる舞台を整えた
それもリスト教団6割と言う見方をつけたことによって〝テロの神様〟である力を、ほとんど取り戻した万全の状態であった
こうして唯一の世界を救う希望の舞台を白命達は整えたのだった
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