〜孫へ受け継がれた資料〜
それから数十年の月日が流れた。
青年だった彼も今ではもう孫のいるおじいさんになっていた。
ちなみに孫の名前は〝
孫や息子たちは都会の方に住んでおり、連れ添ったおばあさんはすでに他界していた。
一人でこの土地に住んでいるおじいさんに、息子たちは心配だから一緒に住もうと提案をする。
しかしおじいさんはここから離れる気はなく、その話をすると、いつも跳ね返されていた。
そのおじいさんから急に連絡を受けた息子たちは、孫の白命を連れておじいさんのいる土地を目指していた。
おじいさんの所に着いた息子たちは部屋に案内され、少し話をした後に移り住む運びとなった。
ただし条件として『住み慣れたこの土地に白命と一緒に三日間泊まってからにしたい』と言われる。
息子たちもそれくらいならということで、荷物をまとめる手伝いとして白命を置いて先に帰っていった。
「久しぶりだな白命」
と、おじいさんが優しく声をかけると白命は
「なんなのおじいちゃん」
と太々(ふてぶて)しく答えた。
「見せたいものがあるんだけど、ついてきてくれんかの」
というとおじいさんは本棚の本を一つ、本の中へと押し込んだ。
すると一つの本棚が奥へと引っ込み、おじいさんはその本棚を横にズラすと、その奥へと続く通路に白命を呼びそのまま先へと歩き始めた。
それから少し歩いた先に扉が現れた。
いわゆる隠し部屋という所だろう。
「おじいちゃんここに何があるの」
そう聞いてきた白命に
「世界の鍵」
とだけおじいちゃんは答えた。
中に入るとホコリがたまっている。
長年使っていなかったようだ。
おじいちゃんはその中から一つのファイルを取り出すと、白命に渡した。
「これなに、おじいちゃん?」
そう聞いた問いにおじいさんは答えなかった。
仕方なく白命はそのファイルの中を開いた。
そこには研究資料らしきものがあった。
『滅んだ世界の遺物 解読文書』
そう書かれた資料だけが、そこには大切にしまってあった。
白命は何も言わずにそれを開くと、黙々と読み始めるのだった。
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