〜おじいさんの青年時代〜

歴史上最も古く、存在しない時代があった。

その証拠を見つけたのは、とある旅人の青年だった。


その昔、火山が有名だったその土地には大きな山があったらしい。

その山は〝ササゲの山〟と呼ばれ、頂上には火口につながる大穴が開いている。

そこから吹き荒れる溶岩は凄まじい炎を上げ、全てを焼き尽く勢いだったとも言われていた。


昔は進んだ科学も無くて、多くの流行病や飢饉に会うことが後を絶たなかった時代だったらしい。

その時代を生き、神を信じる者たちはそれが〝神の天罰〟〝神の怒り〟として捉えており〝神を鎮める〟為の供物いけにえとして、若い〝子供〟を供える習慣があったと言う。

文字通り〝子〟を〝供〟えたのだ…

その風習がその地にもあり、溶岩に若い七つの子を投げ入れたと言われている。


旅人の青年達がその地に足を運んだのは、それから何万年も後のことだった。




西暦57,000年

世界は発展を続けあらゆる娯楽に溢れていた。

青年もその時代に生まれた一人である。

この時代というのは、人のすることがほぼ無くなって、あらゆることが機械で行われているのが普通であり〝当たり前〟である世界である。

そんなやる事を機械に奪われた世界で、多くの人が楽しんでいたのが〝研究の旅〟だった。

それは発展した社会で発見や驚きも少ない事から、昔の時代を見て歩く旅人は数少ない〝未知〟に溢れる娯楽の一つになり得たからだろう。

だからそれに憧れる者が多くいたのは当然と言える。なにを言おうこの青年もその一人であった。


青年が〝研究の旅〟を始めて数年が経った頃、昔日本と言われた火山大国へ仲間と足を運んだ。

彼らはそこで数千年前に発見された、生贄の火山と言われる山へ向かっていた。

山の溶岩は長い年月をかけてゆっくりと冷え固まり、黒い岩石となっている。

彼らのすることはその岩石を掘り、溶岩に眠っている歴史を調べることだ。


青年はそこに到着すると、早速仲間と一緒に作業を始めた。

彼らが掘り進めていると、一つの大岩が現れる。

そこには今から約55,000年前に使われていた〝文字〟が刻まれていた。

彼らはその文字板を慎重に掘り起こすと、新たな〝未知との遭遇〟に期待を寄せながら解読を始める。


解読の結果、それは地図を示すことが分かった。

それを知った彼らはまだ見ない〝未知〟を求めて、仲間とその土地に行くことを決めるのだった。




彼らがその地に着くと、そこには数千年前の軍の跡地があった。

そこでは昔の人体兵器に関わる研究がされていたらしく、多くの研究資料が存在している。


彼らは各自で自分の思いのまま探索を始め、自分の好きな骨董品などを見つけると持って帰った。

青年はその中で、とある『滅んだ世界の遺物 解読文書』と書かれた研究資料を見つける。

青年はその時代においてこの研究が、とても危ないことに一目見て感じ取るのだった。

青年はその直感に従い、これを大事に持って帰ると誰もより付かなさそうな田舎の土地へと移り住むのだった。

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