第3節、きっかけ

文化祭の委員会が始まって、少しずつクラスと一緒に出し物の準備が始まった。

いつもこの高校は派手にやる為、その分とても時間をかけて作る。

だから毎年夜遅くまで準備をするのが、この時期の名物となっていた。

しかも今年のクラスで作る事になったのが、教室一面のプラネタリウムだからこれまた大変だった。

案の定ほかのクラスが大体出来てきているなか、自分たちのクラスは最後まで作り続けていた。


そんなある日の晩、ほとんどの人が帰ったが、完成を急ぐ様に先生から言われた君は、一人で残って作業をしていた。

そこにふと手を差し伸べてあの子が

「手伝うよ」と声をかけてきた。

君は少し驚いて

「ありがとう」と小さな声で言った。


少しの間会話はなく、ただひたすらクラスの出し物を作っていた。

ひと段落終えた休憩の時に君は、ふとあの子に訪ねた。

「どうして手伝ってくれるの。」

するとあの子は

「だって君、先生に言われてたでしょ、もう少し頑張れって。でもあの先生は基本的に動く人にしか声かけないから、君の性格だときっと、一人でやってるんじゃないかと思って」

といった。

君は「そうだったのか」と言って少し席を外れた。

戻ってきた君の手には二本の飲み物があった。

1つをあの子に差し出して言った。

「これ好きだっただろ。手伝ってくれたお礼」

あの子は少し笑った。

「ありがとう。でもよく私の好きな飲み物覚えてたよね」と言うと君は

「それは当たり前だろ。どれだけの付き合いだと思ってるんだよ」といって自分の持ってた飲み物を飲んだ。

それを見てあの子は「変わらないね君は」と言ってもらった飲み物を飲んだ。そして「こうして話すのもいつぶりかな」と言うと。

君は「そうだな大体5年ぶりくらいか」と答え、あの子は「もう、そんなにも経つんだ」と言った。

そのあと2人して少しの間、昔みたいにたわいない話をして盛り上がった。

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