第13話 ロリコンと考えるデートプラン
「で、俺を呼び出したのはそれが理由か?」
GW4日目、俺は最近合法ロリの先輩と知り合えて浮かれている真性のロリコンこと高塚翔也に呼び出された。
「ああ。真穂ちゃんと明日遊びに行く約束をしているんだけど……こういう時ってどこに行けばいいのかが分からなくてね」
「で、それを今まで彼女が出来たことがない俺に聞いてどうすんだ? お互いに傷を舐め合うのか?」
モテる度合いで言ったら、ムカつくけどこいつの方が圧倒的に経験値がある。
ただロリコンっていう警察の世話になりやすい性癖のせいで普通の異性には興味がないっていう致命的な弱点があるせいでこいつも彼女が出来たことがない。
……俺なんて初めて告白された相手が変態だぞ?
そんな俺たちに普通の恋愛のいろはなんて分かるわけがないだろう。
「でも、大地は本とかラノベとか読んでいるし……多少はこういう時にどうすればいいのか僕よりも分かるだろ?」
「ラノベや小説の知識だけで上手くデート出来るなら世の中のオタクは全員百戦錬磨だろうな」
ギャルゲーをやったところで、現実の女子の扱いが上手くなるわけじゃないんですよ?
というかお前もそこそこ読むタイプだろ。ロリ系のラノベにガンはまりしてたの知ってんだぞ?
「で、せんぱ……咲良は何が好きなんだ?」
「動物や生き物が好きらしい……それを聞いた瞬間天使かと思ったよ……」
「そのまま天使に迎えられて昇天しちまえばよかったのに」
テーブルに置いた飲み物に手を伸ばして、ストローでズズっと音を立ててすする。
そして、ポテトを1つ摘まんで口に放り込んだ。
「……そういやお前動物相手があまり得意じゃなかったっけ」
「そう……問題なのはそこなんだよ……」
翔也とにかく動物に懐かれにくいらしく、小さい頃からそんな感じで育ち、いつの間にか翔也の方にも苦手意識が出てしまったらしい。
「じゃあ、お前が得意な運動が出来るラウンド2とかは?」
「真穂ちゃん、体が弱くてあまり激しい運動が出来ないんだって……遊び程度の運動でも無理はさせられないからね」
咲良先輩体弱いのか……じゃあそれはダメだな。
「……お前らってもしかしてあんまり相性良くない?」
「うっ……そ、それは……」
お互いの好きな物が苦手なんだろ? 人としての好みはお互いにどストライクなのに好きな物はお互いに苦手同士とか……実質磁石だろお前ら。
惹かれ合うのに反発しあうところとか。
「無難にウィンドウショッピングとかカフェに行ったりすればいいんじゃないか?」
「やっぱりそれが1番かな……? でもなぁ……」
「なんか問題があるのか?」
「そうなると今度はカフェを絞れないんだよ……」
「あー……」
デートってこんなに面倒くさいのか……服から何まで気を遣い、プランを練らないといけないなんて……。
それであれだろ、何食べたいか聞いたら何でもいいって言われて、パスタって言ったらパスタの気分じゃないって言われるんだろ?
……めんどくっさ。
「正直相手がここに行きたいって言ったらそこに連れて行くってのが1番楽だよなぁ……」
「そうだね……でも、男としてそれを選んだら負けな気がするんだ」
分かるけど……まあ相手に委ね過ぎてても、自分ばっかり考えてしんどいだの、ここに行きたかっただの言われるんだろ? 楽しんでもらえるようにデートプランを考えたのに?
……めんっどくっさ。
「そもそも、お前ら友達なんだからデートじゃないだろ。だったら、お互いに相談し合って決めればいいんじゃないのか?」
異性とは言えど、翔也の先輩に対しての認識は年下の友達だ。
それならこいつにとってこれはデートじゃないだろうし、何も1人でどこに出かけるかを決める必要なんてないだろ。
「それは……そうなんだけど……」
「それに、咲良ならお前と出かけられるならどこでも喜ぶと思うしな」
「だからこそ……どこでも、じゃなくてちゃんと考えて喜んでほしいと思うんだ」
なんだこいつイケメンか? イケメンだったわ。
……ったく、そんな顔されたらこれ以上言えないな。
「あ、そうだ。奏多さんにも女子目線でどこが良さそうか聞いてみてくれないかな?」
「……お前あいつに聞いてまともな意見が返ってくると思ってんのか?」
「男同士で話してるよりも、案外いい意見が聞けるかもよ?」
……まあ、そこまで言うなら聞くだけ聞いてみるか。
『お前、デートで行くならどこがいい?』
『ホテルです!』
秒で既読が付いた上に過程をすっ飛ばしまくったゴール一直線の意見!?
『もしかしてせんぱい……連れて行ってくれるんですか!? 急いでいいホテル調べておきますね!』
『時間とデータ容量の無駄遣いはやめろ! 翔也が女子目線でならどこに行きたいか聞きたいらしいから聞いただけだ!』
『ろりこん先輩がですか……? だったら水族館なんてどうですか?』
こいつ俺が絡んでない時はまともに返してくるのなんなんだよ……。
『とりあえずサンキュ。参考にさせてもらうわ』
『せんぱいが素直にお礼を……!? まさかデレたんですか!? 股を開いて待ってていいんですか!?』
『一生閉じてろ』
スマホがLINEの通知音を鳴らしたが、俺は無視してポケットの中に突っ込んだ。
「ひとまず水族館なんてどうだって言ってたぞ」
「水族館か……それなら真穂ちゃんも喜ぶかもしれない!」
「あとは生き物が出る系の映画なり、いい感じのカフェを見つけておけば大体は乗り切れるだろ」
なんだかんだ言って、割といい感じのプランが組めたんじゃないか?
「ありがとう! 助かったよ!」
「ま、一応ここ奢ってもらった分の働きはしないとな。カフェの目星は付いてるのか?」
「ああ、それならちょうどこの間――」
翔也はともかくとして、先輩には1年前から付き合ってるわけだから……上手くいってほしいと思ってるんだよ。
活き活きとデート先のカフェの事について語る翔也を頬杖をついて、眺めながら、俺はもう一度飲み物を啜った。
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