楽しみはお早めに

いってーな。


打った所が痛む。


「これ、めっちゃくっちゃ美味しいですね!」


「そうだな!!」


「いやー、紅茶も最高。」


「ミルクを入れるともっと上手いんだぞ」


リビングを覗くと、なんとも楽しそうなお茶会が開かれていた。


「おい、なんだこれは」

「何って、ティータイムですよ」


“ねーーーーーーーーーーーー”


仲良く二人で顔を合わせてハモった


「俺の分は?」


見た所食べ終わった食器しか無い


「何で、あるわけないじゃん」

「早い者勝ちですよー、先生」


“ねーーーーーーーーーーーーー”


また綺麗にハモった


「ワンホールもあったのに、この短時間で食い切るか普通!!!」


楽しみにしていたケーキをこの数分で失ってしまった



「ふざけるなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


家に俺の声が響き渡ったのは言うまでも無かった。


「先生、大きい声を出さないでくださいよ。」

「そーだ、近所迷惑」


お前らの所為で俺の数日間の我慢していた楽しみがなくなったんだ。

良い紅茶も淹れてたのに・・・


「そんなことより、早く書いてくださいよ先生!」


「分かった、今から書くから」


不貞腐れながら俺は机の前に座って執筆に戻った


あぁ、俺の愛しい新作タルト


サクサクしたクッキーの様な生地

卵の濃厚な味とバニラのいい香り

そして、完熟の桃を丸ごと


シンプルながらも一つ一つがこだわり抜かれた一品


考えれば考えるほど、あの二人に怒りが湧いてくる


“執筆どころじゃねーよ”


そう思いながら書いてると


「先生、タルト食べたいって何ですか」


三鷹に呼ばれて我に返った


「すまん、考えすぎた」

「タルトが食べれなかったからって、子供じゃないんだから hahahahahahaha」


あーそうだよ、子供っぽくて悪かったな


これが終わったらケーキ屋に行こう

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Buddy きな子もち @kinakomocchi

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