いつもの話

子供の頃のトラウマ

どんなのがあったかな...

そんな事を思いながら

いつもの様にキッチンでお茶を入れていると



ガシャーーーーン!!!



大きな音が鳴り響いた


「何だ!!!」


慌ててリビングに入る


「いーや、何にも」


明らかに怪しい動き


「・・・・・。」


“これは暫く言いそうもないな”


「良いよ、言わなくて

それより、おやつの時間だ。机の上片付けろ」

「わーい」


良いお返事が返ってきたところで準備に戻る

今日は、駅前のケーキ屋の新作のタルト

発売前から楽しみにしていた


「早く食べたい」


沸騰したお湯をポットの中に注いで

ワクワクしながらリビングに戻る


「何をどうしたら、こんなことになるんだよ」


さっきよりも散らかった部屋が広がっていた


「えっと...机の上を綺麗にした!」

「そんな事は見ればわかります。

 どうしてさっきよりも部屋が散らかってるんですか。」


わざと敬語を使っているのが分かったらしく

顔がだんだんと不貞腐れていく


「だって、机を片付けろって言った!」

「そうだよ、でも床を散らかせとは言って無いだろうが!」

「でも、机は綺麗だもん!!」

「だから...」


ピンポーン


「とにかく、床の物を片付けないとおやつ無し!!!!!」


「ケチーーーーーーーーーーー」


後ろで雄叫びが聞こえるが知らない


ピンポーン


「はい、今行きます」


玄関に急いで向かった


「どーも」


不適な笑みとはまさにこの事


「さようなら」


扉を閉めようとした


「いやいや、待ってください先生」


そう、おれ 神田央 巷で人気の作家(らしい)

新作の話が浮かばず困っている


「原稿はまだだ、帰ってくれ」

「それは無理な話なんですよ」


扉の間に挟まれながら笑顔で言うこの男は

三鷹友衛 担当の編集者


「出来てねーもんは、出来てないんだって」

「僕もそれくらい分かってますよ。」


結構な力で扉が引っ張られ

俺は外に転がった


「だから、こうして家まで見に来たんですよ」


転がってる俺を置いて中に入っていく


「先生、寝てないで早く仕事してください!」


誰のせいでこんな事になったんだ...




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