第34話
「なあ、美夜……」
土曜日の夜。晩御飯を食べ終わった僕は、美夜に話しかけた。
ちなみにこの家ではご飯は基本的に僕が作っている。美夜もご飯は作れるし、平日の昼は自分でご飯を作っているらしいのだが、僕がいると「めんどくさい」と言って作ろうとはしてくれない。僕も特別料理が嫌いなわけではないし、最近は少し得意といえるレベルになってきたので、結果的に僕がご飯を作ることになる。まあ、得意といってもひかりほど上手には作れないが……
「なに?」
美夜がこっちを見て首をかしげる。妹だということを差し引いてもかわいい。美夜は家の外に出たがらないので基本的にパーカーを着ているが、ちゃんとおしゃれすればかなり目を引くだろう。
「……実は、明日友達と遊びに行くんだ」
「……ふーん。また美夜を置いて遊びに行くんだ」
そう、まだ光や優、リーナと遊びに行くことを伝えてなかったのだ。それを伝えると、美夜が少し不機嫌そうな顔になった。
「美夜とは今日十分遊んだ気がするがけど……」
僕はボソッとそう言う。実際今日はずっと美夜とゲームしたりしていたので嘘ではない。
「……まだ遊び足りない」
僕のつぶやきを聞き逃さず美夜はそう言う。
「……行っちゃダメか?」
「そうは言ってない……」
僕が確認すると美夜は少し口を尖らせた。
「それで……その……もしかして友達ってこないだ電話してた女の子?」
「……確かにひかりも来るよ」
「へぇ〜ひかりちゃんって言うんだ……お兄ちゃんとどういう関係なの?」
「友達だよ」
「怪しいなぁ……まぁ、今日のところはそういうことにしといてあげる」
そう美夜は言うなんだか今日の美夜はいつもの美夜とは違う感じだ。
「……それで、明日は遊びに行っても拗ねないよね?」
「うーん……あ、じゃあ今度ひかりちゃんをこの家に連れてきてよ。それで手を打ってあげる」
そんなことを美夜は言い出した。まぁ、この前ひかりも美夜に会いたいって言っていたし大丈夫だろう。それよりも、美夜が家族以外の誰かに会うのなんて2年ぶりじゃないだろうか? 美夜は人見知りの節があるので心配だ。
「わかったよ……それより美夜は知らない人が家に来るの大丈夫なのか?」
「……今回はそんなこと言ってる場合じゃないし」
「……? なら大丈夫なんだけど」
美夜の意図があまり読み取れないが、気にしないでおこう。
これが美夜にとって何か良いきっかけになるといいな……と僕は思った。
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