第17話

「……なんか、めちゃくちゃ見られてるんだけど」


 僕たちは予定通り、食堂に昼ごはんを食べに来ていた。

 そして、たくさんの視線が僕たちに集まっている。

 いや、僕たちではなく、日野さんと伊東さんにと言った方が正しいかもしれない。


「まぁ、二人も美女がいればこうなるだろ……俺も未だにこの四人でご飯食べてることが信じられないよ」


「たしかに、日野さんも伊東さんも可愛いもんな……」


 前に座っている二人を見て納得する。

 お世辞じゃなく可愛い。

 二人とも高嶺の花過ぎて僕なんかが一緒に昼食をとっていていいのか不安になる。


「か、可愛いなんて気軽に言わないでください!」


 僕の言葉に反応して恥ずかしそうに日野さんが言ってくる。

 日野さんくらい可愛かったら言われなれてそうなものだが……と思うが、恥ずかしそうにしている姿がこれまた可愛い。


「気軽に言ったつもりはないんだけどな……実際可愛いし……」


「……また、そうやって」


 日野さんはうつむいたままだ。


「やっぱりずるいよ……」


 日野さんは何か呟いて、ごまかすようにラーメンを食べた。


 伊東さんは何も言わずに黙々とラーメンをすすっている。


 二人とも耳が少し赤いのはラーメンが熱いせいだろう。


 横を見ると優がジト目で見てきていたことは割愛しておく。















 ◆



「明日、リーナちゃんにこの町を案内してあげない?」


 そう言って日野さんが僕に声をかけてきたのは放課後だった。

 急に言われたので少し驚いたが、明日から週末だから思いついたんだろう。


「……伊東さんの予定は大丈夫?」


 僕は少し考えてからそう言った。

 いつも暇な僕とはちがって、伊東さんは予定があるかもしれないと思ったからだ。


「うん! リーナちゃんにはもう許可をとってある!」


 日野さんは、そう言って「ね、リーナちゃん!」とそわそわした感じで伊東さんの方を見る。


 伊東さんはそれに対して頷いた。


「まだ、この町になれていないので案内してもらえると助かります」


 きれいな金髪が少し揺れる。


「僕も大丈夫だけど……本当に僕でいいの? もっと他の人だって……」


 案内と日野さんは行っているが、日野さんと伊東さんと休日に遊びにいくようなものだ。

 二人と一緒なら他にも行きたい奴はたくさんいるはず……そう言おうとすると


「月野くんじゃないとダメ!」


 と食いぎみに日野さんが言ってきた。


「……そう? ならいいけど……」


 なんで僕じゃないとダメなのかはよくわからないが、日野さんがそう言うならいいだろう。

 僕の明日の予定が確定したって

 美夜には留守番しといてもらおう。


 こうして、僕は日野さんと伊東さんと一緒に週末の一日を過ごすことになった。


 ちなみに、優も行きたいと言ってきたので、伊東さんに確認をとると、「こちらこそよろしくお願いします」と承諾してくれた。

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