人質

 春が過ぎて夏が来たようだ。

 そんな気候になってきても、クララベルは再びバロッキーを訪れる事はなかった。


 ミスティはあれ以来ずっと機嫌が悪い。

 どうにか販路を見つけて国外に出そうとしていたミスティの絵を、クララベルが気に入ったと言い出して、外へ売るのを邪魔したのだ。

 例の竜の絵を外に出す足がかりとして描いていた、最近のミスティらしさの出た絵だった。

 クララベルが考えついたなら、なかなか賢い妨害方法だと思う。

 王家が欲すれば、王家のお抱えの絵師という事になり、許可なく王家以外に絵画を流通させづらくなる。

 まぁ、それでも画風を変えたものは別の名義で流通させられるから、バロッキーの中で困る事はないのだが、クララベルの妨害は、ミスティのへの仕返しとして的確に効いていたのだった。



 休日を前にして、皆忙しい。

 ハウザーとエミリアはルミレスを伴って、婚礼の為の細々とした品を選びに行くと以前出向いた倉庫へと行っている。

 暫くぶりに学園の寮からバロッキー家に戻ってきた子どもたちは、宿題に追われながら、イヴさんの手伝いをしている。

 ジェームズさんも夕方には帰ってくるそうだから、夜は久しぶりに皆で夕食がとれそうだ。

 ヒースは商談のあるトムズさんの付き添いで、朝早く出かけて行き、私はアルノの仕事の手伝いをして過ごしている。


「来月からまた、ヒースに付いて山へ行くの」


 書類の手を休める事なく告げると、同じように手を動かしながらアルノが答える。


「そうか、サリがいないとなると、こちらも忙しくなるな」

「そのことなんだけど、カルメがね……」


 ぴくりと紙に走らせていたペンを止め、妹の名前に明らかな反応を示したアルノに手応えを感じる。


「カルメが、わたしが手伝っている仕事を教えてほしいって」


 心の中でほくそ笑み、言うだけ言って仕事を続ける。


「……それで?」


 ふふん、続きが気になるのね!


「カルメは頭の良い子だし、算盤仕事くらいならあっという間に出来る様になるわ」

「それは、そうだろうが……」

「学校が休みの度にアルノの手伝いに行きたいけど、アルノが休日をずらす気があるか探ってきて欲しいのだって」

「探ってこいと言われたんだろう。なぜ直接私に言う」

「手っ取り早いと思って。私、二人の仲をこっそり取り持つ妖精などではありませんから。情報の秘匿は無駄な誤解のもとよ」


 アルノは眼鏡を押し上げて、難しい顔をする。


「カルメはね、寮があるから残っているだけで、帰ってくるつもりなら毎週帰って来られる距離なのよ」


 カルメは姉の私が冗談でけしかけたアルノとの結婚にかなり前向きだ。

 二週間ごとに学園から帰って来ては、せっせとアルノに会いに行っているようだ。

 アルノだって、カルメが帰ってくる時は実家には帰らず、必ずバロッキーの敷地内にいるようにしているくせに。


「そもそも、子どもに仕事を手伝わせる気はない」

「ラルゴには教えていたのに?」

「ラルゴは身内だろうが」

「カルメは?」

「私は誰かと結婚するつもりはない」


 そんな話してないのに、すぐカルメと結婚が結びつく所のほうが意識していると思うけど?


「そう。わかったわ」


 駄目押しで、余計な一言をいっておく。


「一応言っておくけれど、学園は共学よ」


 そして、一度作業に集中する為、書類にだけ意識を向ける。

 しばらく私の算盤とペンが紙を滑る音だけが響く。


 ……私の音だけ?


 書類から目をあげると、アルノが肘をついて頭を抱えている。

 忙しい忙しいと言うなら、仕事をしなさい。


「カルメが毎週帰ってこなくても、アルノなら大丈夫でしょ? ヒースだって、三週間はどうにかもったし。まあ、やせ我慢が過ぎて酷い状況だったけれどね」

「そういうのは個人差があるんだ。お前たちとは状況が違う」


 アルノは 不貞腐れたようにいうが、私はアルノの言葉尻を捉えて、笑い出す。


「ふふふ、ついに尻尾を出したわね。私たちとあなたたち、対比させるとはどういう類似点と状況の違いがあると言うのでしょうね?」


 アルノはもう一度頭を抱え込んだ。

 少し前から、アルノにとってカルメは無視できない存在になりつつある。


「それで……カルメは毎週帰ってくるつもりなのか?」

「アルノが許せば毎日でも」


 大人しいばかりだと思っていたカルメがこの件に対しては珍しく積極性を見せている。

 感情の塊のようなイオと違って、カルメはそうそう感情で動くような真似はしない。

 だから、アルノの妻に納まることだって、すっかり計算がうまくいって始めた事だったのだろうとは思う。


「サリに唆されて、双子で一緒にシュロから抜け出す庇護を私に求めているだけなんじゃないのか?」

「本気でそう思うの?」


 それとも、そうでなければいいと思ってる?


「……私は自分の血が恐ろしいのだ。見た目はヒース程ではないが、確実に竜の影響が強い血が流れているんだぞ」


 でも、それはカルメには関係のない事だ。


「わかっているのか? カルメはまだ十一だ。十六になるまではまだ五年もある。うっかりその前に私の血がカルメに反応でもしたら……」


 竜の血を持つと臆病になるのかしら。

 普通の人には感じられないことを多く暴いてしまうから、傷つくことも多いのだろうけど。


「そこは反応しようがしまいが成人までは耐えてもらわないと。流石に姉として不埒なことは見過ごせません」

「いや、ないぞ! そんな予定は一切ないからな!」


 そんなアルノだから気軽に妹を押し付ける気になったのだ。


「私、番の定義を考えていたの。好きになるのと、目が光るのとは別なんじゃないかと思って」


 アルノは興味深そうに頷く。


「感覚が鋭いから好き嫌いが決まるのは一瞬なんだろうけど、竜は宝を守る生き物なんでしょ? だったら血が反応するのは、相手を所有している……言い方が悪かったかしら、庇護下にある? とにかく、自分に所属している、守りたい存在だと認識している時なんじゃないかと思うのよね」


 アルノは何を思うのか眉間を揉んでいる。


「だから、エミリアと距離のないハウザーはあまり強く反応していなかったし、自分の気持ちに疎いルミレスは気がつかないくらいだった。ヒースは婚約者になってから歯止めが効かなくなった」


 それが纏めて論じられない竜の生態の正体なのではないだろうか。


「この認識はまちがっている?」


 アルノは、ため息をつく。


「間違っていない。私が懸念しているのはその事だ。今のままでは下手をしたら私は、恋だの愛だのの前にカルメを守るべきものとして認識してしまう可能性がある。こんな庇護を得るためだけの縁談にカルメの幸せがあるとは思えん」


 手放せなくなったら、逃がせなくなるなんて、ヒースもアルノも変な所を心配しているのね。

 そう思っている時点でだいぶ心が傾いてきているのに。


「カルメの幸せはカルメのものだから、それがアルノでも、勝手な押し付けはしないことね」

「……そうだな」


 さて、頑ななこの竜にどうやって毎週帰る許可を取ったらいいかしら。


「そうだ、あと少しすると、低学年にも休日の生徒同士での外出許可が出るようになるらしいわね! イオはラルゴがついているから安心だけど、カルメは気の強い方でもないから、男の子に誘われて断りきれるかしら。心配だわ」


 芝居がかった口調で言うと、アルノはますます険しい顔になる。


「まぁ、私としてはカルメをシュロにいる変態どもから切り離す為の庇護を得られるのだったら、カヤロナに住んでいてそれなりの権力を行使できる家ならどこでもいいんだけれど。それこそ、カヤロナ家でもね。あそこはたくさん王子がいるようだし、カルメは美しいから、正妻は無理でも、売り手市場でしょうね。ジェームズさんのコネを使って調査に行かなくてはいけないわね」


 ついにアルノはバンと机に手をついて立ち上がる。


「お前は、カルメをあそこに送り込むつもりか? あそこの汚いガキどもの慰み者にするなど、冗談じゃない!」

「……でも、アルノに関係ないのでしょ?」

「待て、私は……」


 手間のかかる人ね。

 待つのはアルノじゃなくてカルメの方だわ。

 あの子、気の長い方だけど、アルノが納得するまで待てるかしら。


「カルメを手伝いにやってもいいの? 悪いの?」


 これだけの事を決めるのに、どれだけ逡巡するのか。

 答えは決まっているのに。


「……わかった。カルメの好きにさせたらいい」

「わかったわ。そのように外出の申請をだしておくわ」

「一人で辻馬車で帰ってくるのは危ない。私が迎えに行くから、単独で動くなとよく言い聞かせておけよ」


 慌てて付け足すのも忘れない。


「……過保護ね」

「過保護で悪いか!」


 カルメは儚げな見た目とは裏腹に策略家だ。

 狙った獲物を逃がすわけがない。

 カルメの恋の行方は、今のところ順調そうだ。




 別邸からの帰り道も慣れたものだ。

 妹への良い知らせを運ぶとなると、足取りも軽い。

 冬は暗い緑色の針葉樹ばかりに思えた木々も、柔らかい新芽の緑から明るい緑色に変わり、明るい影を足元に落としている。

 道の中ほどまで来て、人影を見つけた。

 急に現れたから、草陰に潜んでいたのかも知れない。

 目立たない格好で、申し訳なさそうな表情で佇んでいる。


「レトさん?」


 見たところ一人だけのようだ。


「サリさん、本当に申し訳ないのですが、今から城に来ていただきたいのです」


 内面の肩身の狭さを、肩を狭く縮めた姿勢がよく表している。


「どういうことですか?」

「サリさんの叔母様をこちらでお預かりしております」

「えっ?」


 予想のつかない人物の登場に、驚きを隠せない。

 叔母というのは、十六年前にバロッキーに嫁ぐという契約を反故にして逃げ出した、あの叔母の事だろうか?


「それは、本当に私の叔母なのですか?」

「おそらく間違い無いかと。バロッキーとの事情の証言も、私がサリさんについて調べた事とも食い違いがありませんでした」


 見たこともない叔母の急の登場に、内心、私はたいそう動揺した。


「その、今からって、今からですか?」


 動揺を悟られないように注意深くレトさんに言葉を返す。


「このまま私が行方をくらませば騒ぎになりますけど?」

「構いません。騒ぎにしてください。最近の姫様の我儘は目に余ります。人を誘拐してくるなんて」


 思い詰めた顔をしている。

 彼女の与り知らぬところで、クララベルは大それたことをやり遂げてしまっていたようだ。


「レトさん、騒ぎになれば他国への輿入れが延びる可能性もありますし、逆に姫の意向は通らなくなり、婚約の話が進むかも知れません。姫様の有利にことが運ぶばかりではありませんよ」


 ただでさえこれから苦境に立たされるクララベルに、これ以上の試練は与えたくない。


「もとよりその覚悟です。サリさんの身の安全は私が保証致します。騒ぎにお付き合い頂けませんでしょうか?」


 私は少しだけ雑多な手回しに思考を巡らせた。


「被害を最小限に抑えた状態で、騒ぎにしていいというのなら、お付き合いします」



 *****



「サリ、あなたの探していた貴方の大事な叔母よ」


 クララベルは真紅のドレスを着て私の前に立っている。

 勝利を確信しているようで、少し鼻の穴が膨らんでいる。


「身内を人質にとられてはどうにもならないわね」


 クララベルの部屋の豪奢な椅子に、知らない女性が極々弱い拘束で縛り付けてある。

 本当に、クララベルはどうしてこんな無茶なことをしたのかしら。


「あなたの叔母の命が惜しければ、ヒースの婚約者を辞めて、叔母と一緒に実家へ帰ることね!」


 命なんかとるつもりもないのに、大きな事を言うわ。

 この様子でトムズさんに交渉を持ちかけても、笑って頭を撫でられそうだ。


「しばらくお静かにされていたようですが、叔母を探してくれていたのですね」


 つい微笑みそうになりながら、感情を抑えてそう答える。


「サリが叔母に会いたがっているのは調査済みよ!」


 成功したいたずらを自慢するように得意げに笑う。


「……何のために探しているかはご存知で?」

「生き別れの叔母を探していたのでしょ? もう一人いるようだったけれど、そちらの叔母は見つからなかったのよ」


 見つからないものを探すのは骨が折れた事だろう。

 だいぶ時間をかけたようだし、この我儘に付き合った手下は相当くたびれただろう。


「ええ、その方はもう亡くなっていますから」

「え? 姉さんが?」


 私の叔母らしい人が動揺して身動ぐ。

 父と似ているのか、どうかもよくわからない顔立ちだ。

 身内だと思えるところが見当たらない。


「ええ。トーウェン家から出て行った先で事故にあったようです。ミスティが追跡した書類を探し出して分かりました。妊娠していたようで、気の毒なことです」

「そ、そうだったのね……」


 父とそんなに歳の離れていないはずなのに、年齢以上の皺を顔に刻んでいる。

 幸せの表情で出来た皺で無い事は明白だ。


「感動の対面ね! 叔母を返して欲しければ、ヒースを譲るという念書を書きなさい!」

 

 私は深く深くため息を吐いた。


「姫様、勘違いをされていますわ」


 芝居がかった仕草で頭を振る。

 クララベルは無駄なことに物凄い努力をしてしまったようだ。


「私が叔母を探していたのは、復讐のためなのです。その人に人質の価値はありません」


 青い水晶のような目が見開かれる。


「なっ、嘘おっしゃい!」

「その叔母は、契約書を無視して、私たちだけに途方もない借金を残して消えた二人の叔母のうちの一人です」


 手を取り合って涙で再会を喜ぶような間柄ではないのだ。

 レトさんは私の事を散々調べたようだが、肝心のところには到達しなかったようだ。


「私の母が病気で亡くなったのは勿論病気のせいですが、叔母たちが借金を残さなかったら、と思わない日はありませんでした」


 大きな間違いに気が付いたクララベルは、言葉もなく赤いドレスの端を握りしめている。


「姫様は母君が亡くなられた時に、どのような気持ちになられましたか?」


 少し意地の悪い気持ちになる。

 この子だって母親が亡くなって苦しんだはずなのに。

「そんな昔のこと覚えていないわ」


 ぎゅっと口を結びそっぽを向く。


「私は借金を抱えながらの長い看病の後、母が亡くなった時に、卑しくも一つ肩の荷が下りたような気持ちになってしまいました。とても母を愛していたのに、母が生を終えたことに深い悲しみと共に、次の日を生きる活力を得てしまったのです。次の日から、働ける時間が増えることを喜んでしまったのです。私は、そんな生きる価値のない私を、そこに居る卑怯者の枕元に首を括ってぶら下げてやろうと思っていたのですよ、姫様」


 その気持ちを思い出して、うっそりと口元に厭らしい笑いが浮かぶのを他人事の様に感じる。


「その人が、うんと悪い夢を見るように」


 叔母が身を縮めぎゅっと目を瞑る。

 どうしよう、あんなに苦しめようと思っていた人なのに、私、この人に何も感じられないわ。


「あなた、そんなことの為に死ぬつもりなの?」


 クララベルは私に死んで欲しくないのだろうか?

 自殺志願者を止めるような声音を出すのね。

 振りで人質をとったりしない方がいいわよ。

 向いてないから。


「その人は私の復讐の相手ですが、そんな人が傷付けられて、私が慌てるとでもお思いですか? 見つけていただいて手間が省けた事は感謝いたしますけれど、姫様は、私がその人を要らないと言ったらどうなさるおつもりで?」

「ええ?」


 そこまで考えていなかったのだろう。

 きょろきょろとレトさんに助けを求めるように視線を送るが、レトさんは冷たく突き放す。


「私の肉親は双子の妹と、実家の父だけです。尤も実家の父も場合によっては縁切りする覚悟ですが。双子に関しては完全にバロッキーの庇護の下にあります。姫様であってもあの子達に何かしようものなら、穏便には済みませんね。姫様がジェームズさんと、ベリル家を敵に回しても構わないと仰るとは思いませんが」

「ベリル家……?!」


 クララベルはジェームズさんよりもベリル家に反応を示し、苦虫を噛み締めたような顔をする。

 バロッキーよりも血統が確かで、便宜上バロッキーの名を捨てた分家……時代によっては本家なのかも知れないが。


 クララベルのこの感じだと、あながち間違いではなさそうだ。

 クララベルはバロッキー家に来た時にミスティだけを呼んだ。

 娼館通いが有名で、評判の悪いルミレスが呼ばれなかったのはまだしも、ヒースと同じくバロッキーを冠しないアルノ・ベリルが呼ばれなかった事を不思議に思っていたのだ。

 クララベルが王家に引き入れたくない何かがあるとするなら、ベリル家は先の王家の血筋なのだろう。


 カヤロナに王位を譲ったか奪われたかは分からないが、忘れられた王家の血筋はベリル家に受け継がれているはずだ。

 カルメは本当に大きな後ろ盾を得たようね。


「ヒースから手を引けとの事ですが、姫様はヒースをどうするおつもりですか?」


 意地の悪い質問は続く。


「どうって……」


 即答できずに口籠るので、喋らせてもらうことにする。


「この国でヒースの様な外見の者を温かく迎え入れる者はありません。王家が何代にも亘りそう仕向けてきたのですから当然です」


 見た目は変えられない。

 一度植え付けられた感情を変えるのは易しいことではない。長い年月をかけて払拭していくしかないのだ。


「ご存知ですか? ヒースは市場でその目を晒すだけで場を恐怖させ、近づくことも厭われる。姫様がヒースを連れて歩ける場所など、この国にはないのですよ」


 カヤロナ王家の中で外にも出ずに過ごさせるつもりだったのだろうか。


「ヒースが当たり前に母に愛され、仕事をして、家族を増やし、隣人に受け入れられる場を奪ってきたのは、他でもない王家なのに」

「そんな……」


 クララベルが悪いのではない。

 むしろクララベルは国の中でいちばん竜と親しい王族であるはずだ。

 ジェームズさんもヒースのことも慕っているし、ミスティと対等に喧嘩することを厭わない。


「王家は、これ以上何をヒースから取りあげるおつもりですか?」


 しかし、私は言わなくてはならない。


「そんな、わたくしは……」

「夫とした後は、自由を奪い、人の目に触れない塔にでも閉じ込めますか?」


 この人にカヤロナ王家を変えていく突破口になってもらいたいから。


「姫様、残念ですけれど、ヒースに問うこともせずにこのような事をなさる方に、大事な家族をお譲りする事は出来かねます」


 クララベルはほとんど泣きそうで下を向いてしまう。


「それに、姫様はヒースの事を過小評価されすぎです」


「サリ!!」


 ガンッと音がして扉が乱暴に開けられる。


「ご覧なさいませ。私をヒースから隠すつもりでしたら、もっと分かりづらい場所にしないと……わぁっ!!」


 一直線にやってきたかと思うと、ヒースはあっという間に私をぎゅうぎゅうに抱きしめた。

 もう、ちょっと待って、今いいところなんだから!

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