第4話
side 春宮紫苑
黒いコボルトとその取り巻きが現れた
僕達が倒したオークを横取りしにきたのか?
まあ、タイミング的にもそれしかないだろう
「シオン、ドうする?」
「どうするって言われてもなぁ……」
ぶっちゃけると逃げたいし、もうそろそろ帰りたい
向こうの狙いはおそらくオークだ
オークを置いとけば逃げられるだろう
でも…、
「せっかく仕留めた獲物を奪われるのはなぁ…」
相手はコボルトだ
疲弊しているといっても今いる数くらいなら対処できる。多分
「ガルルルッ!」
「おっと」
チッ、考えすぎていたか
「ベル!やるぞ!」
「応!分かッタぜ!」
▼△▼
「シオン!前衛はマカセたぞ!」
「ああ、分かった!」
相手がコボルトだろうがなんだろうがやることは変わらない
剣を再び抜き、構える
武器を持っているのは黒いコボルトのみで防具は誰もつけていない黒いコボルトは3匹でそれぞれ短剣、両手斧、メリケンサックだ
……メリケンサック装備している奴って本当にいたんだ
さっき捨てた盾は拾われていないらしく、まだ地面に転がっている
「ガルッ!」
「ガアッ!」
二匹のコボルトが連携しながら襲いかかる
牙も爪も鋭利で人やエルフの肌など簡単に切り裂けるだろう。おまけにかなりすばしっこい
「ガァッ!」
「グルァッ!」
よけた先にもコボルトがおり、攻撃してくる
「あー!もう!鬱陶しい!」
「シオン!魔術でナぎ払ウ!詠唱スる時間をかセいでくれ!」
え?ちょっ
「“踊り狂うは緋の毒蛇――
あの野郎こっちの返答も聞いていないのにおっぱじめやがった
周囲の魔素がベルを中心として吹き荒れている。どうやら相当強力なやつを打ち込むらしい
「ガルッ?」
「ガアッ!?」
「グルルァッ!!」
知性の低いコボルトでも魔術が危険だと本能で察したらしく、一斉にベルに襲いかかる
「チイッ、やらせるかよ!」
「ギャアッ?!」
剣を振り下ろす、いや叩き付けるといったほうがいいだろうか?
元々から切れ味が悪い上、オークの血でかなり切れ味が悪くなっていたみたいだ
だが結構な重量があったためコボルトの骨は砕かれ、倒れたまま動かなくなった
「ガアッ?!」
「ガルルルッ!」
「ガアッ?ガル!」
「グルッ!グルッ!」
コボルトが一撃で殺られたのを見て黒いコボルトが周りのコボルト達に指示を出したみたいだ
3匹のコボルトと黒いコボルトが僕に、残り全員がベルに向かっている
……面倒臭いなぁ
あの黒いコボルト達は他のコボルトと比べ知性が高いようだ
だけど、行かせる訳にはいかない
決意を固めて剣を構える
「行かせ―
「“燃やし尽くせ!《フレイム・ストーム》!!”」
……タイミングぅ
▼△▼
黒い炎が狂ったように踊り、コボルト達を焼いていく
焼かれたコボルト達もまた炎を纏い、狂ったように踊り、肉の焼ける匂いをまき散らしている
焼肉のように香ばしい香りではなく、生き物が死ぬ匂い。焦げ臭く、どうしようもないほど鼻につく
……これからは肉を焼くのがトラウマになりそうだ
「……っていうかこんな森の中で炎ぶっ放しても大丈夫なのか?!」
「あ、やッべ!!やっチマったわ!“洗い流せ〈ウォーター・スプラッシュ〉!”」
「少しは考えろよ!馬鹿!“押し潰せ、そして砕け!泥よ!我が意のままに腕となりて!〈マッド・ハンド〉!!”」
水と泥が炎に襲いかかり、炎が消えた
……あー危なかった。危うく山火事になるところだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます