第11話
side アルカ
ゴブリン達が目の前で共食いをしている。このことは別に珍しくともなんともない。ゴブリンは悪食だ。なので基本的には何でも食べる。食べ物がなければ、仲間の死体だろうが自分の赤子だろうが食べる。たがこんな敵の目の前でするなんてあり得ない。いったい何のために……
……?ゴブリンが光り、大きくなっている?
まさか…!
「おい!ダニエル!あの光っているゴブリンを鑑定しろ!!」
「言われずとも!………!」
「どうだ?」
「……上位種だ。あいつら共食いで進化してやがる!」
最悪だ。無数のゴブリンとその上位種、俺達騎士だけならなんとかなるが、異世界人が足手まといすぎる
「まずいな、流石に予想外だ」
「同感だ。しかし、こんな異変をどうして誰も気がつかなかったんだ…?少し前の調査では何もなかったというのに…。というかここら一帯の警備をしている騎士は何をしているのだ…?」
「そんなこと今考えても仕方あるまいに。今は結界がまだ持っているうちに、ここからどう切り抜けるか考えろよ」
「……と言っても一つしかないだろう」
どうやら思いついたことは同じらしい。俺達の話を聞いていた周りの騎士達も同じようなことを考えたらしい。やれやれ、考えることは皆一緒ということか…
side 春宮紫苑
共食いをひと段落させたゴブリン達が押し寄せてくる。しかしなにか半透明な壁――結界に邪魔されこちらには来れないようだ。ゴブリンは光に弱いので、朝日が出れば巣に帰るか勢いも弱くなるだろうと観察していると、
「おい!ダニエルさん!なんでこんな雑魚どもにビビってあるんですか!?」
「そうよ!こんなのさっさと皆殺しにしてさっさと寝ましょうよ!」
「そうだ!俺達の魔術に手も足も出てないじゃないか!」
……なかなか過激なことを言う奴らがいるなぁ、おい。というかチャラ男、チャラ娘連中かよ。遠征中誰も騒いだりしないから、てっきりいないものだと思っていた
このまま黙っていたらよかったのに……
「おい!士道に小鳥遊達!■手なことwo言うんzaゃない!これは異■事態だ!!今■冷静に状況を見■ワめるのga先決だ。そreに対策な■練ってあるからmoン題ない!」
ダニエルさんがチャラ男、チャラ娘連中に冷静になるように言うが連中は聞かずに騒ぎ立てている
おそらく、異世界に来て力を得て、その力を過信している。だからこんな異常事態でもあんなに騒げるのだろう
「ハッ!まさかダニエルさん達がそんな腰抜けだったとは思わなかったぜ。いいぜ俺達がやってやるよ!!」
チャラ男のリーダー格――士道仁が無茶苦茶なことを言い出した。周りの奴らは止めるどころか同調してはしゃいでやがる……
「おい、士道!勝手なことを言うんじゃない!」
「あぁ?!うるせぇよ夏目!!お前みたいな雑魚はすっこんでろ!!……ったく、なんで秋崎はこんな奴なんかを……」
正義感の強い祐介が噛みつくが、まるで聞きやしない。それどころかヒートアップして今にも突撃していきそうな勢いだ
「もういい!!手柄は分けてやらねぇからな!お前らいくぞ!!」
あ、突っ込んでいった
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