第6話
side 春宮紫苑
秋崎こころは誰もが認める美少女である。中学校のときはもう面白いくらいに異性、同性関係なくモテて学校一の美少女なんてもてはやされていたくらいだ。そして祐介の幼馴染で、彼女である。これだけ見れば祐介に対し、
嫉妬の視線を向け、呪いの二つや三つくらいかけてやりたくなるが、彼女の真の姿を知る以上それは絶対にない
なぜなら―
「ねえ春宮君。この前祐介と話していたよね。祐介を誑かそうとしていたの?二度と祐介と会話もしないし、視界にも入らないって誓ってたじゃない。私を裏切ったの?ねえ答えてよ、ねえ」
―すさまじいレベルのヤンデレだからである
僕は今、王立図書館にいる。もちろん調べ物をするためだ。調べ物なら騎士団の宿舎にある書物でもある程度できるが、所詮ある程度でしかない。そのため、どうしたものかと思っていたときに羽根山と祐介の二人に出会い、図書館を紹介、そして入れるように手配してくれたのだ
ありがたい。ありがたいのだが…
「なぁ祐介、羽根山。なんでコイツがいるんだ?」
「なんでって祐介がいる所に私がいるのは当然でしょ?」
かわいらしく首をかしげているが目のハイライトが行方不明なため
すごく怖いです
「いや待て、何故そこまで僕に殺意を向ける?というか祐介と会わないし会話しないなんて約束はした覚えがないぞ」
「春宮君サイテー!!約束も守れないなんてサイテーよ!!」
「……いやそんなこと言われてもなぁ。約束なんてした覚えなんてないし」
「したじゃない!!」
「どこでだ?」
「夢ノ中で!!」
……馬鹿かコイツは
結局、その場は祐介が納めてくれたからなんとかなった
図書館の向こう側でいちゃついている祐介と秋崎を見ているとふと思った
「なぁ羽根山、なんで僕はあいつにあそこまで嫌われているんだ?」
「……さぁ?拙者はあまり秋崎殿とは絡みませんからなぁ。付き合いは紫苑殿の方が長いので何か心当たりがあるのでは?」
心当たりねぇ……
心当たり…
「判らん」
「そこまで伸ばしてそれですか」
「いやマジでわからん。というか僕あいつらにとって一応恩人に当たるわけだよね」
「あー、去年のことですか。あれは大変でしたでしょう」
意外な話だが、祐介と秋崎は今ではバカップルであるが、去年まではそうじゃなかった。(まぁ、ハタから見ればいちゃついていたが、本人達からすればいちゃついているつもりは無かったらしい)二人ともあからさまに好意を抱いているのになかなか進展せず、見ててもどかしかったので、こちらから焚きつけたり、本人達から相談を受けて、デートや告白のセッティングをしたりとラノベの親友役みたいなことをしていたのだ。そしてそのかいあって今ではあいつらは立派なバカップルである
「しかし、考えれば考えるほど分からないな」
「まぁ、そんなことより紫苑殿は今日何を調べに来たのですかな?」
「そうだな、俺も気になるな。何なんだ?」
「おうバカップルの片割れさんよ何食わぬ顔で話に入ってくるのはやめてもらおうか。下手をすれば僕はあいつに殺されるかもしれないからな。というかあいつはどこに行ったんだ?」
「こころも調べ物だよ。ハハッ、それにしても紫苑はビビリだなぁ。こころがそんなことするわけないじゃないか。第一、俺もこころも去年のことはキチンと感謝してるんだぜ?」
「……お前、あいつのヤンデレ直視してよくそんなことが言えるなぁ。というかよくあいつの本性バレねぇんだろうな」
「彼女にも交友関係がありますし、意外と彼女も少しは世間体を気にしているのでは?」
そんな奴ならあんなことしないと思うけどな…
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