第13話 不登校生の救済(5)
そして、翌日日菜子が学校に戻ってきました。その日菜子を見て美咲が先に声を掛けました。
「日菜子、おはよう。もう体調は大丈夫ですか」
「美咲おはよう、プヨプヨの話が聞きたくなって出てきたの」
「では放課後に彼を紹介しますね」
「お願いします」
「天舞莉さん、日菜子が出てきました」
「日菜子さん、おはよう。久しぶりですね」
「おはようございます」
「日菜子のことで天舞莉さんに相談に乗ってもらっていたのです」
「そうなの天舞莉さんにも迷惑を掛けていたのですか」
「日菜子さん、大丈夫よ。美咲の彼が頑張っているから日菜子さんにもそこで手伝ってもらったらと相談していたの。それは日菜子さんがゲーマーだと聞いていたからね」
「そうなんですか」
その日のお昼休み、健太が美咲の教室に入ってきました。
「健太さん、日菜子さんが学校に戻ってきました。日菜子、健太さんです」
「橋本日菜子です、こんにちは」
「桃山健太です。日菜子さんですか、ちょっと外で話しをしませんか」健太は日菜子をグランドの横にあるベンチに誘いました。
「日菜子さんのことは美咲から聞いています。早く学校に戻ってくれてよかったです」
「桃山さん、ありがとう。私のことを心配してくれてありがとう。美咲からいろんな話を聞いて嬉しくなりました」
「日菜子さん、僕は今eスポーツクラブを作るのに走り回っています。そこでeスポーツを皆さんに知ってもらうために十一月の文化祭で第一回桃花台高校プヨプヨeスポーツ大会をやりたいのです。
でも今現在eスポーツクラブのメンバーが三名しかいません。そこで日菜子さんをスカウトしたいのです」
「私をスカウトしたいのですか」
「そうだよ、これからクラブを作るのに女子がいると男子が活気付くのです。だから日菜子さんと一緒にやりたいのです」
「そうなの、桃山さんは私に期待しているのですか」
「そうだよ、ゲーマーならeスポーツの世界で頑張るのが一番いいでしょう」
「それは分かります」
「日菜子さん、eスポーツでは全国高校大会が昨年から始まりました。そこでわが校にクラブを作ってeスポーツで全国大会を目指すのです。
その前にeスポーツの楽しさを全校生徒に知ってもらうために、プヨプヨeスポーツ大会を企画したのです。でも今メンバーが三人しかいないのです。
そこで日菜子さんに手伝って欲しいのです。分かってもらえますか」
「桃山さんはそこまで私に期待しているのですか」
「そうだよ、日菜子さん一緒にやろうよ。
渥美先生からゲームをする喜びについて教わりました。ゲーマーの皆さんは新しいゲームを手にした時のワクワク感、ドキドキ感が忘れられません。
そして、ゲームは現実世界とは別のもう一つの世界を体験させてくれます。それを手にした時の喜びと興奮が嬉しいのです。現実世界では味わえない体験がゲームの世界にあるのですね。それに出会えるからゲームが止められないのですね。
それで一人でするゲームから団体戦するゲームを知って欲しいのです。家でしていたゲームを学校に来てやる団体戦のゲームの世界を体験したいのです。その為にeスポーツクラブを学校に作りたいのです。
そこで今ゲーマーを集めているのです。日菜子さん一緒にやりましょう」
「はい、桃山さんがそこまで私に期待してくれるのなら一緒にやりたいです」
「ありがとう日菜子さん、放課後に二年生を紹介しますから視聴覚室に行きましょう」
「ええ、もう今日行くのですか」
「日菜子さん、今日は顔を見せるだけです。心配しなくっていいですよ」
「分かりました。ではお願いします」
そして、その翌日に菊地陽斗が学校に出てきました。
「陽斗君おはよう、体調は良くなりましたか」
「健太君おはよう、一日一回笑うようにしたら身体が軽くなりました」
「そうですか、笑いの効果が出てきたのですね」
「はい、これからは毎日学校に出てきます」
「それではもう不登校から卒業ですね」
「はいそのつもりです」
「では陽斗君今日の放課後に視聴覚室に行きましょう。今は文化祭のプヨプヨeスポーツ大会の準備で大忙しなのです。早速手伝って下さい」
「はい分かりました。では放課後に一緒に行きますから声を掛けて下さい」
「了解です。陽斗君Aクラスの橋本日菜子さんも昨日から不登校から卒業してプヨプヨeスポーツ大会のお手伝いをしています。」
「そうですか、女子も加わったのですか。楽しみですね」
「あとは柏木貴志君が出てきてくれれば嬉しいのです」
「僕は毎日彼に電話しているのですが電話に出てくれません」
「そうですか、ここで諦めずにもうしばらく電話を続けて下さい」
「はい続けます」
そして、放課後になりました。健太と陽斗は一緒に視聴覚室に行きました。そこに今日は天舞莉と一郎も来ていました。そこで陽斗は皆に紹介をしました。
「不登校卒業おめでとう」
「おめでとう、これから一緒に頑張りましょう」
陽斗は皆の声援に驚きました。そして日菜子が陽斗に握手をしてきました。それには彼も感激しました。
「陽斗さん、私も卒業してまだ二日目です。健太さんに誘われてeスポーツクラブを作る為に出てきました。」
「そうですか、橋本さんのことは健太さんか聞いています。僕もeスポーツクラブを作って全国大会を目指したいです」
「私と同じ思いですね。嬉しいです。
仲間がいることで嬉しく思えたのは今日が初めてです」陽斗は日菜子の顔を見て嬉しさを堪えるのでした。
そして、二年生の高橋と太田が来て握手をしました。
十一月月の文化祭まで後一ヶ月ちょっとです。プヨプヨeスポーツ大会の話題は校内で非常に良い評判になっています。その感触はここにいる実行委員たちは肌で感じています。
健太は企画としてはホームランだと思いました。国体と同じ条件で全校生徒によるプヨプヨeスポーツ大会です。
そこで団体戦と個人戦のクラスで十名の代表を選ぶのに、大騒ぎしているクラスも出てきました。これでは勉強に手が付かないと先生から苦情が出るかもしれません。
ところで先生の中で個人戦と団体戦に参加する件は、渥美先生からは何も言ってきませんでした。健太はそのことが気になっていました。
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