第5話 女性の下着売り場は虐めのシェルターだ(2)

 健太は彼らが自分を探しにこちらに来るのを察しました。そこでどうしたら良いのか思案しました。店の中は女性服売り場の隣に女性の下着売り場があります。

 でも健太は女性の下着売り場に行くのが恥ずかしいです。もう女性の下着を見ただけで健太は興奮してきました。

 そこで彼が恥ずかしいという事はバレー部の人達も恥ずかしいはずです。彼は、恥ずかしさを堪えて女性に合わないように祈りながら、下着売り場の中に入っていきました。

 そして、携帯電話を出して藤田美咲に電話しました。彼女は先輩が彼には彼女はいないと言った恋人で幼馴染です。

「美咲、今どこにいますか」

「これから家に帰るところです」

「美咲、助けて下さい。イオンの二階に直ぐに来て下さい」

「ええ、学校からだから少し時間かかりますよ。ともかくそこに向かいます」

「お願いします。着いたら電話して下さい。

 今女性の下着売り場にいます。

 バレー部の先輩から虐めを受けそうなのでここに隠れています」

「そうなの、ともかく急いで向かいます」

「待っています」

 健太は電話を切って周りを見ると女性の下着ばかりです。そこには沢山のブラジャーやパンツが並んでします。そこで色とりどりの下着類を見て健太は、興奮して鼻血が出そうです。

 そこに不審に思った高齢者の女性が健太に近づいてきました。

「あなた高校生でしょう。白い顔をしてどうしたのですか」

「おばさん、先輩から虐めを受けそうで怖くなってここに隠れています。

 お願いですから一緒にいて下さい」

「そうなの、あなた虐めを受けそうなのですか。

 そう言えば向こうに沢山の男子学生がいましたね」

「おばさん、お願いです。その人たちから守って下さい。

 ここにいれば彼らは恥ずかしいから入ってこないと思います」

「分かりました。あなたは恥ずかしくないのですか」

「僕も女性の下着売り場ですから恥ずかしいです。

 でも虐めを受けるよりかは、まだ我慢できます」

「そうなの、ここはあなたにとって恥ずかしい場所なのですね」

「おばさんまで僕を虐めないでください。

 だって女性の下着売り場ですよ、僕には目の置き場がありません」

「あなたは初心なのね。可愛い処がありますね。

 いいでしょう。私と一緒にいなさい。

 そうすれば傍から見ても親子か孫に見えるから大丈夫よ」

「おばさんありがとうございます。先輩達がいなくなればいいのですが」

「そうね、ほら向こうに見えますよ。

 でもこちらを見ても近づいて来ませんよ」

「そうですね、良かったです」

「可愛いわね」

 健太がおばさんと会話をしているのを先輩達は見て気付きました。その二人の姿と話をしている様子が少し可笑しいです。

 でもそれは親子かお婆ちゃんと一緒に買い物にきたように見られます。そこでその容姿からどこかぎこちない健太を見て疑いの眼で先輩達は見ていました。

「近藤さん、あの二人をどうしましょうか」

「うーむ、女性の下着売り場でなければ中にはって行くのだけれどな。

 色とりどりの下着が目に入って、ううう・・興奮してきたよ。

 山崎はこの女性の下着を見ても何とも思わないのか?」

「ええ、私も近藤さんと同じでもう興奮しています。

 あの中に入っていくのは出来たら許して下さい。恥ずかしいです」

「俺も同じだよ。興奮して恥ずかしい」

「それであの桃山は下着売り場に入っていて恥ずかしくないのでしょうか」

「それは彼でも恥ずかしいだろう」

「僕もそう思います。彼はおばさんと二人で下着を見ている処からすると、何とも感じていないのでしょうか」

「そうだなあ、では桃山は不感症なのかなあ」

「不感症ですか、何ですかそれは」

「山崎は不感症も知らないのか」

「すいません」

「バカモンが、不感症というのはこの女性の下着を見て山崎のオチンチンは大きくなっているか。なっていれば不感症ではないよ」

「近藤さん、僕はもうすでに大きくなっています。

 そうか感じるから大きくなり、これでいいのですね。

 もしこれが大きくならないと不感症なのですね」

「まあ、ちょっと違うかもしれないが、ザックリ言うとそう言うことだ」

「分かりました。それでは健太は不感症かもしれません」

「あれを見ているとそう思いたくなるよ」

「虐めを辞めて、恥ずかしいから今日は帰りましょうか」

「そうだな、家族がいれば俺たちのことが分かってしまうからなあ。 

 よし、今日は止めて帰ろう」

「はい、帰りましょう」そう言って先輩達はイオンから帰っていきました。

 そして、それから数分後に女性の下着売り場に美咲がやってきました。でも美咲は健太が知らないおばさんと二人でいることに少し疑問を感じました。

「美咲さん、こちらです。このおばさんがぼくを助けてくれました」

「こんにちは、私桃山君の友達の藤田と申します。

 彼が危ない処を助けてくれたそうでありがとうございました」

「あなたが桃山さんなのですか、良いお友達をお持ちでよかったですね」

「おばさんのお陰で助かりました。もう先輩達は帰ったようですから良かったです。

 ありがとうございました」

「それではわたしはこれで失礼します」

「ありがとうございました」それを言っておばさんは離れていきました。

「美咲、ありがとう。一時はどうなるかと心配しました。

 あのおばさんが声を掛けてくれたから助かりました」

「ところで健太さんは、電話くれてからずっとこの下着売り場にいるのですか」

「そうです。僕は興奮して恥ずかしいのと虐めによる不安で気が狂いそうです」

「健太さんって面白い人ね、どうしてここに入ってきたのですか」

「それはね、さっきも言ったように女性の下着売り場に来るだけで、興奮して恥ずかしくなるのです。だから男子はここに入るのは嫌なのです。

 そこで僕が嫌なら先輩達も嫌だろうと思ったのです。それで我慢してここに入ってきました。すると先輩達はここまで来ませんでした。

 この女性の下着売り場は虐めにあった時に僕を助けてくれるシェルターなのです」

「シェルターですか」

「そうです。現にここにいたら先輩達は入ってきませんでした。

 男子は皆この下着売り場に来ると興奮して恥ずかしいのです」

「そうなの、よかったわね。健太さんの策がよかったのですね。

 でも健太さんは女性の下着売り場に来るだけで興奮するのですか」

「そうです、僕は初心なのです。

 まだ高校一年生ですよ。女性のことを知らないからです」

「そうなの、私には分からないわ」

「でも今日は虐めに遭わずに済んで良かったです。美咲ありがとう」

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