俺の望み

魔王、ねぇ。

うーん、血生臭いのはあんま好きじゃないしなぁ……。どうせ死ぬには変わりないんだろ?

別に断ったって……。


いや、待て。


「おい、転生する世界ってのには、いるのか?モン娘は」


『……は?モンムス?なんだそれは』


「は?モンスター娘に決まってんだろ!!義務教育受けてんのかテメェ!」


『えぇ……なんだコイツ怖……』


悪魔の戸惑いが伝わってきたが知ったことではない。


「モンスター娘だよ!いるのか?どうなんだ!」


『あ、あぁ、人間の女を模した魔物のことか……?もちろんいる世界もあるが……』


「マジか!!しゃあ!!モン娘がたくさんいる世界に転生させてくれるなら魔王でもなんでもなってやるよ!」


『む、お、おぉ、そうか!素晴らしい。クク、近頃女神がやたら勇者を増やすものでな。魔王が足りなくなって困って……』


「うるせぇ!お前の話なんてどうでもいいわ!スキル三つだったな?一つはもちろんモン娘の好感度が上がりやすくなるやつ!二つ目はそうだなぁ~、死んでも全回復するやつ!やっぱモン娘と付き合うなら一筋縄ではいかないだろうしな!三つ目は……うーん……思い浮かばないから後で決めてもいいか?」


『あ、あぁ、それは構わないが……、これは『契約』だ。転生が行われたなら、たとえ三つ目のスキルが決まっていなくても途中で破棄することは……』


「あぁ!?もういいならとっとと転生させろよ!モン娘!モン娘!」


『お、おう。貴様がいいならいいが……。オホン、ならば『契約成立』だ』


ガクン、と落下していた身体が止まったような感覚がする。

そうしてだんだんと闇が濃くなっていき、


『選ぶ人間間違えたかな……』


そんな声が頭の端に聞こえたのを最後に、俺の意識は消えた。

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