悪魔の契約

……真っ暗だ。


穴に落ちてからかれこれ数分といったところだろうか。俺はひたすら落ち続けていた。

最初は若干パニックになったりしたが、流石にこんなに長い間来るべき衝撃が来ないと逆に冷静になるというものだ。


「この穴、実は秘密の地下帝国にでも繋がってるんじゃねーの?」


『それはお前次第だな』


「おわぁ!?」


突如謎の声が頭の中に響いた。


『クク、いい反応だ。私は悪魔。貴様に取引を持ってきた』


「取引……?いきなり何を……、ていうか俺が独り言言うのを待ってたのか?」


『……』


あ、黙った。


『ん、ンン!!いいか?貴様にはこれから逃れられぬ死の運命が待っている』


悪魔は咳払いをしてから誤魔化すように早口で話し始めた。


『貴様はこの後無残な死体になり再びこの世界の輪に取り込まれるわけだが……、私の力があればその輪から抜け出すことができる』


「はぁ……よくわかんねっす」


『貴様に分かりやすく言うなら別の世界に転生できるということだな』


あー、異世界転生ってことか。


「でも契約ってことはタダじゃないんだろ?そこんとこはっきり教えてくれよ」


俺がそう言うと悪魔は待っていたと言わんばかりにこう言った。


『クク、私と契約すれば別の世界に転生させてやる。貴様の望むスキルを三つ付けてな。その代わり、貴様には『魔王』になってもらう』

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