エピローグ 空気も文字も読めない世界で皆は笑う

普通とは何なのか、障害とは何なのか。


考え始めたら恐らくキリが無い。


日常生活に支障が出たらなのか、自然体で過ごして生きづらければなのか、


ここまで考えても、明確な答えは出てこない。


もしウチと同じように字の読み書きが出来ない人が、クラスに半分ぐらいいたらどうなるのだろうと考えたりもする。


そこまで人数がいたら、果たしてそれは障害と呼ばれるのだろうか。


もしも皆がウチと同じように光や音が苦手で、サングラスや耳栓などをするのが当たり前の世界だったとする。


そんな中、1人だけサングラスも耳栓も無くても普通に過ごせる人がいたとしたら、その人は目や耳に異常があるのでは?という考えに世間がたどり着く可能性も無くは無いのではないか。


皆と違うから、だからアイツは変。

数が少なければ喰われてしまう世の中なのか、決めたレールに乗っかれない者は置いていかれるのか。


中々に排他的である。





だけど、そんな人たちも、角度を変えればきっと輝ける。


例え上手く行かなくても、別方向からアプローチすれば、意外と理解出来る事は多い。


書けないのなら、パソコンで。

読めないのなら、音声言語で。


そこから本人が気づかなかった、対象の魅力にも気づき始める。


ウチはそれが競技かるただった。今でも文字はスっと読めないし、上手く書けない。


始めは色つきの歪んだ様々な形をした札だった。


けれど、音を聞いて意味を少し理解し、音と形を合わせる事に興味を持ち、最終的には「普通」と言われている人たちと文字という場面で同じフィールドに立ち、勝つことが出来た。


それがウチにとっては何より嬉しかった。


出来ることなら、かるたは生涯続けていきたい。


人との関わり、温かさも知れた大事なものだ。


もしあの時、百人一首に興味を持っていなかったら…

そしたらウチは劣等感の塊で、更にどん底の中を生きていただろう。




ついでに、最後に1つ自分を褒めるとしたら、どんなに辛い状況でも、自分を否定しなかった事だ。


ウチ自身はダメな奴だと思った事は何度もあるが、それでも懸命に生きてる自分が大好きだった。


社会や世間はウチに厳しすぎた。だからウチはウチを精一杯可愛がって、甘やかした。


自分を褒めてくれるのは、いつだって自分だけだった。


ウチが超甘党な理由かもしれない。苦いのも辛いのも酸っぱいのもお断りだ。


人生で苦汁も辛酸も舐めさせられまくってるからかもしれない。物理的にまで摂取するのはサラサラごめんだ。





話が逸れたので、元に戻そう。


もし、障害を持っている方で、自分を嫌いな方がいたら、これを機会に、自分を好きになるようになれたら嬉しい。



マイナスは考え方1つできっとプラスになるとウチは信じてる。











空気も文字も読めない世界で皆は笑う。












「皆」の中に、いつかは「ウチ」もーー。








ーーー完ーーー。

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