Fabel_Apostel

游黎

『きっと、この出会いは運命なんだろうね。』

わたしは、産まれてからずっと鉄の箱しか見た事がない、外の世界なんて、微塵も知らない。


これはそんなわたしが、“英雄”になる迄の物語。___


此処は病院の様な場所だ、とお医者様から聞いた事がある。

親は何処か、私は何か病気なのか、そんな事は気にしなかった、知らなかった。


ある日のこと、私は此処を出て行くことになった、なんでも魂が安定したからだ、と聞いた。よくわからない話だったけどついにお外に出る事ができるんだと、とても嬉しかったのを覚えてる。


「、、この子が、、はい、、えぇ、、」


ふと、そんな声が耳に届く。

お医者様と誰かがお話ししているんだろう、

とても気になる、だから声の方まで歩く。


「、、おや、シャーロット。」


お医者様が私の名前を呼ぶ。

いつもみたいにニコニコわらって。


「、、本当だ、シャルにそっくり、、」


何処か懐かしむ様に、慈しむように、私を碧の双眼で見つめてくる白い髪の男のひと

知らない人なのだけど、なんだかこの人を見てると、声を聞くと胸がほわほわする。


「あぁ、この人はね?今日から君の保護者になるんだよ。ほら、ギルバート、挨拶。」


「あぁそうか、うん、僕はギルバート、ギルバート・ソザートン。君の、、君の執事見たいなもの、だとでも思って欲しい。ね、お嬢様。」


ギルバート、、ギルさん。うん、覚えた。

それに、ふふっ!お嬢様、お嬢様だなんてまるで御伽噺おとぎばなし見たい。


「うんっ素敵な執事さん、宜しくね!」


きらきら。

そんな目でお嬢様は素敵な素敵な執事をみつめるのです。


素敵な執事は私を見て微笑んで、


「あぁ、宜しくね、素敵なお嬢様。そうだなぁ、きっと、この出会いは運命なんだろうね。」


運命だ、って笑うのです。

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Fabel_Apostel 游黎 @Yuuragi

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