第4話 自炊
「ロドリゲスは自炊してるの?」
「するする。肉の丸焼き、男の料理って感じだろー」
「いいねー。ちゃんと作ってるんだ」
「そりゃねー。リツもそうでしょー?」
「作るけど、外食多め」
「まじかよ! リッチじゃーん」
リツと人型アリゲーターのロドリゲスは、エーテルエール魔術院の講義と講義の間、空き教室の椅子に座りながら一人暮らし同士の自炊について談笑していた。
「リツ、それでお金持つのー?」
「持つというか、僕が食べる量の料理ってそんな価格しないんだよね」
「なるほどな。じゃあ同じだー」
「同じ?」
「俺も少食だもん」
「うそ!?」
この時リツはロドリゲスの少食発言を信じられなかったが、のちに人型アリゲーターのようなワニ族のことを調べたら本当に少食であった。そしてリツのいた世界のワニも数週間に一度の食事ですむほど少食らしい。
そんな二人とは違い、一日に何キロもの肉や魚をたいらげる種族もいる。エーテルエール魔術院の周辺の飲食店はそんな様々な種族に対応している場所も多い。
大食いの種族に学生価格の基準が設定され、それより食事量の少ないも種族はある種の恩恵を受けている。いつでも半額シールが貼ってあるような感覚とリツは思う。
他にそれぞれの種族の専門店もある。人間のための料理があったり、人型アリゲーターのようなワニ族のための料理もあったり。
リツは目の前のロドリゲスを見て、ワニ族が食べそうな料理について考える。
そして一つの引っ掛かりのような疑問が浮かぶ。
「ロドリゲス、気になったんだけど……」
「どうした?」
「生肉って食べないの?」
質問を聞いたロドリゲスの縦に長い瞳孔がキュッと閉じた。リツは自然と身体に力が入り背筋を伸ばす。
「リツー、野生のワニでも魔獣でもないんだから。生肉なんて食べたらお腹壊しちゃうよー」
ワニ顔の口元を歪ませ、困った様子で
見た目で判断してはいけない、脱力で前傾姿勢になったリツは二度うなずいた。
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