第8話 まるでアナタは息を潜める獣のように-2
「裏切り者だって!?」
「告白魔法使いでありながら、黙示の獣の味方となっている者が君たちの中にいるのさ。……恐らく、本人は裏切っている自覚なんてないだろうけどね。その人物は黙示の獣に取り憑かれているんだよ」
「誰かわかっているのか?」
「いや、僕には残念ながらわからない。もしかしたら、君かもしれないという可能性もあったが、僕は君を信じて話すことにした。何せ、僕ら神々は僕を除いて黙示の獣に喰われてしまっているからね。アガペ、マニア、ストルゲ、ルダス、プラグマ……それがこの世界にかつて存在していた神の名だ。それぞれの神には使徒がいて、告白魔法使い一人一人に対応している。マニアの使徒はルミナで、アガペの使徒はシンクという感じでね。他はストルゲがハクマ、プラグマがマミヤ、ルダスがユラギ、そして、君がこの僕、エロスの使徒となっているのさ」
「裏切り者を見分ける方法とかはないのか?」
「……黙示の獣が取り憑いている者は必ず、『黙示録』を所有している。黙示録の処分に成功すれば、黙示の獣は倒せるだろう」
「なんだ。意外と簡単に倒せるじゃないか」
「だがしかし、黙示録には決まった外見というものがなくて、本の形状をしていることは確かなのだけど、何が黙示録になっているのかはわからないんだ。それに黙示録を見つけたとしても黙示の獣から攻撃を受けるかもしれない」
「黙示の獣のくせに黙って処分される気はないってことか。しかし、世界を滅亡させないためにもやらなければいけないよな」
「そうだね。君ならばそう言ってくれると思っていたよ」
俺の視界が眩い光に包まれ始める。
「それでは、僕らは君の戦いをここから見ているよ。あと一日しかないのであれば、もたもたしている時間はないが、だからこそ、僕らは君を引き止め続ける訳にはいかない」
「お前の考えがようやくわかったよ。これで、俺のことを信用してくれるのなら、俺はそれに応えるさ。ラビィにもよろしく言っておくよ」
視界を光が埋め尽くしていく。
六人の告白魔法使い、黙示の獣、黙示録を持つ裏切り者の存在、様々な情報が頭の中で錯綜するが、俺のやるべきことはまず一つ。
六人の告白魔法使いを集めなくてはならない。
あと一日しかないのなら、全員を集めて黙示録を探すのが手っ取り早い。
そのためにも俺はもう一度、ユラギに対峙する必要があった。
ユラギを説得して、告白魔法使いを集め、黙示録を探す。
これが、俺の考えた黙示の獣を倒す道のりなのである。
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