第3話 まるでアナタは雪解けを待つ桜のように-3
「はぁい! 私の可愛い生徒たち! これから今学期最初の授業を始めるわよ!」
やたらハイテンションなマミヤに体育館まで連れてこられた俺たちの目に、衝撃の光景が飛び込んでくる。
「ゴーレム!?」
俺は体育館に並ぶゴーレムの数々を見て、以前経験したアンコール魔法学院の第一次編入試験を思い出した。
「この授業ではアタシの特製クリスタルゴーレムと戦ってもらうわよ!」
マミヤが指を鳴らすと身体を結晶で構築されたゴーレムが立ち上がる。
「マジか! いきなり実戦かよ!」
「このクリスタルゴーレム、見ただけでとんでもない魔法耐性を持っていることがわかる!」
俺のクラスメイトたちはクリスタルゴーレムを警戒して杖などの武器を構える。
「どんな手段を使ってもいいわ。一人ずつこのクリスタルゴーレムと戦って私に実力を見せてみなさい」
「へっ、そういうことなら、楽勝だぜ!」
男子生徒の一人が剣を構えてクリスタルゴーレムに立ち向かう。
「あいつはシーザー! 一年生の頃に魔法戦闘でトップクラスの成績だった剣の魔法使いじゃないか! 同じクラスだったのか!」
他のクラスメイトたちがざわめく中、シーザーは勢いよく走り出す。
『雷の精霊よ! 我に太古の力を貸したまえ! 奔れ閃光! 唸れ雷鳴!』
シーザーは剣に青い稲妻を纏わせ、クリスタルゴーレムを一太刀で切り伏せる。
クリスタルゴーレムは切断面から蒸気を発して崩れ落ちる。
それを見て、シーザーは決着がついたと考えたのか、剣を鞘に収めてゴーレムに背を向けた。
「すげえ! あんなでかいゴーレムを一撃で倒してしまいやがった!」
ゴーレムの撃破にクラスメイトたちは湧き上がる。
しかし、クリスタルゴーレムはシーザーに両断されたにも関わらず、再び動き始めた。
「やるわね、シーザーちゃん。……だけど、アタシのゴーレムはその程度じゃ倒しきれないわよ」
ゴーレムは切断面をくっつけると何事もなかったかのように再生して、シーザーに背後から襲いかかった。
「シーザー! 後ろだ!」
クラスメイトたちに呼びかけられ、シーザーはようやくゴーレムの復活に気づく。
「くっ、まだ生きていたのか!」
シーザーは剣を構え直そうとするが、一足遅く、ゴーレムの繰り出したパンチに対すて防御も回避も間に合っていなかった。
「うおらああああああっ!」
俺は思わず飛び出し、ゴーレムの腕に体当たりする。
「なんだあいつ! 一人でゴーレムに突っ込んで行きやがったぞ! 無茶だ!」
一人の男子生徒が俺を指して叫ぶ。
『うるせえ! 無茶でもやってやる!』
俺の両手から勇猛の炎が吹き出し、ゴーレムの腕を爆破した。
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