第2話 まるでアナタは雪解けを待つ桜のように−2
「あらあら、お久しぶりね! アタシが担任のマミヤ・グランドよ! 一年間よ・ろ・し・く♡」
教室に着いた俺は数日ぶりにヘンテコなオカマ教師と再会した。
「お前が俺の担任なのか……」
「なんだか残念そうね。同じ告白魔法使いなんだからもっと仲良くしましょう?」
「なんだかお前は信用出来ないんだよな」
「ふふっ、警戒心の強い子ね。まあ、取り敢えず席に座りなさい。キミの席はあそこよ」
マミヤが指した先にある窓際の席に俺は座る。
俺の隣には赤い髪の女子生徒が座っていた。
女子生徒は俺と目を合わせると微かに微笑む。
顔立ちの整った品の良さそうな少女だった。
「初めまして、私はユラギ・アサーシャ」
少女は俺に対して名乗ると俺の椅子をわざわざ引いてくれた。
「あ、ああ、初めまして。俺はツヅリ・ランダース」
席に座った俺は一瞬、少女からなにやら形容し難い恐ろしげな雰囲気を感じたが、目の前にいる会ったばかりのこの少女が俺に敵意を抱いているとは思えず、ユラギと名乗った少女に動揺しているのは俺が単に女性の免疫がないからだと考えることにした。
しかし、俺は直後に別の意味で戦慄する。
「先輩……先輩♡……先輩……♡……♡♡……」
窓の外からこっそりとルミナがこちらを覗いていたのである。
俺と目が合ったルミナは笑顔で俺に小さく手を振ってくるが、この教室は校舎の三階にある。
窓の下に足場などあるはずがなく、壁を張り付いているとしか思えなかった。
「今、そこの女から先輩を守ってあげますからね。先輩を惑わせようとする女には罰を与えないと……」
そして、ルミナはユラギに気づいて殺気を放ち始める。
俺は今にも襲いかかりそうなルミナを止めようと席から立ち上がる。
「おや? 窓の外に何か……」
俺がユラギを庇うより先にユラギの方が窓の外に振り向く。
しかし、ルミナの姿は忽然と消えてしまっていた。
「気のせいかしら?」
ユラギは窓の外に何もいないことを知ると視線を戻す。
俺はルミナがいなくなってくれてホッとしていた。
その時、俺はさっきまで感じていた何者かの視線がなくなっていることに気づく。
つい先程までの視線はルミナのものだったことがわかる。
しかし、それでは今朝感じていた遠くからの視線は誰のものだったのか、余計に謎が深まったように俺は思うのだった。
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