第218話 アーティファクト・キャンセラーごと取り込まれたよ!?

「特別枠と乱入者!

魔物の襲撃もものともしなかった!


だがこれはまだ序章!

本当の戦いはこれからだ!」



そのジョマの声で山田…クロウの身体は宙に浮く。


「まだ…だ…、まだ…やれる。

力だ…、もっと力を…」


あー、多分死んでいたのにジョマに引き戻されたな。

「チャレンジャークロウ!戦意はまだ消えて居ないぞ!」


そしてクロウの身体に今まで倒してきたプレイヤーの死体が集まる。


全てを取り込んだクロウの身体は肥大して今までの倍の大きさの悪魔になる。

「プレイヤーって1000人くらい居たよね」

「ああ…」


「もっと…、もっとだ…」

クロウはまだまだ力を求めている。


「ツネノリ…」

「なんだ?」


「嫌な予感するんだけど」

「奇遇だな、俺もだ」

「あ、私もです」


やはりと言うか、倒した12体の悪魔もクロウに取り込まれる。


クロウの身体はグニャグニャと蠢いて光っている。


「まだだ、足りないぞ!凄い力が足りないぞ!!」

そう聞こえた瞬間。


「うわぁぁ…」

「マジかーー」

「助けてくれぇ〜」

「勘弁してくれよ…」


佐藤達とアーティファクト・キャンセラーがクロウに取り込まれる。


「佐藤達、アーティファクト・キャンセラーごと取り込まれたよ!?」

「ああ…、どうなるんだ?」


そして光って居たクロウの身体が眩しく輝くと次の瞬間には目の前に超巨大な悪魔の姿があった。

悪魔と言っても今までの毛むくじゃらのデザインではなくもっと人間に近い。

だが大きさがかなり規格外で背の高さだけなら学校の校舎くらいの大きさだ。


それを見て居たら前にお父さんがどうしても行きたいと言って1/1の巨大ロボットを家族で見に行った時の事を思い出した。

多分あれと同じ大きさはある。


くそっ、これがジョマの隠し球だ。


「チャレンジャークロウ!

倒されたプレイヤーや魔物を取り込んでの超進化!

これなら特別枠達を倒せるか!!」


「行くぞ!」

そう言ってクロウは殴りかかってくる。


「嘘っ!?速っ!!」

慌てて盾で防ぐがそのまま吹き飛ばされる。


「きゃあああっ!?」

「千歳!」


慌ててツネノリが拾い上げてくれたのでダメージは無い。

「ありがとう、助かったよ」

「いや、だがあの巨体であの速度はマズい」


「私が斬ってみます!」

「メリシア!」

「待って!まだよくわからないのに近づくのは危ないよ!ツネノリ追いかけて!」


私はツネノリに後を追わせる。

やれる事は爆発する盾を出してあの2人を援護する。


それよりも問題はあの巨体で放たれる閃光爆裂の規模だ。

この辺りだけなら良いが近くの街や村に被害が出たらダメだ。


「やぁぁぁっ!」


器用に膝とかを踏み台にして肩まで登ったメリシアさんが胸に剣を刺して下まで降りようとする。


剣は無事に刺さるが斬り裂く先から再生をしているのだろう。

遂には剣がクロウの身体に刺さったまま動けなくなる。


「剣をしまえ!」

そう叫ぶツネノリは8本の剣を飛ばして援護をする。

ツネノリの剣も切り裂く事は出来たがその先には行かない。

切り裂く度に再生されてしまう。


そしてクロウは冷静だ。剣をしまって降りるメリシアさんに狙いを絞る。

かろうじて私の出した4枚の盾が全てクロウの攻撃を受け止める。


4枚だったからだろう。

なんとか防げた。


そしてその瞬間に大爆発。


やはりクロウは爆発には弱いんだ。

手首まで吹き飛んだがすぐに再生された。


くそっ…

私は心の中でジョマに問いかける。


「ジョマ!質問!!」

「あら何?時間まで止めちゃうなんて必死ね」


「え?止まってる?」

「ええ、まあいいわ。それで何?」


「山田を倒せば終わり?」

「ええ、倒せたら千歳様達の勝ちよ」


「倒せるんだよね?」

「あら心外、倒せない敵は用意していないわよ。ただ取り込んだ1000人のプレイヤーと12体の悪魔、それとアーティファクト・キャンセラーを動力にしているから回復はかなりのものよ」


やはりか…


「じゃあ後ひとつ。

アイツの閃光爆裂はどんな感じ?」


「いい質問ね。もう爆裂は無いわ。

閃光も前みたいな全方位の無差別攻撃じゃないわよ。

そうねぇ、言うなら超威力のビームね」


ビーム!?

「あの2人には「創世の光」に近いとでも言いなさい。

それくらいかしら?

じゃあ頑張ってね〜」


ジョマ側から解除されたのだろう。

私は現実に引き戻される。


「ツネノリ、メリシアさん!一度戻って!」

私は2人を呼んでジョマとの話を伝える。


「「創世の光」に近い威力!?」

「そんな!流れ弾がどこに行くか!」


「おっと!作戦会議か!流石の特別枠も今回だけは勝ち目なしか!!」


「千歳!」

「まだやり切ってないっての!

2人は時間稼ぎ!

メリシアさんは攻めすぎないで!

ツネノリは有効打を探しながらメリシアさんのカバーだからね」


「はい!」

「了解だ」


今は「究極の腕輪」があるからやれると思うけど私が耐えられるかな?


「イメージ、「紫水晶の盾」で光の檻。

ポイント数を20倍。

私のイメージ力、足りてよね?


行け!【アーティファクト】!!」



光の檻がクロウを包む。

ここまでは出来た。


問題はこの先だ。

クロウの閃光を防ぐ事が出来るか?


「ツネノリ、メリシアさん!どうなるかわからないから戻って!」

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