第184話 あまり早いとペナルティになると思うからだ。

召喚の光が晴れた私達はトセトの真ん中に居た。

「トセトか…」

「うん、ここまでは想像通り」


「千歳?」

「多分周りに被害の出ないポイントをジョマが選んでくれているの。この後は想像通りならアナウンスが入って森の向こうからプレイヤーが私達を殺そうと躍起になって迫ってくる」


「みなさんこんにちはー!!運営のジョマです!!

レイドバトル2日目の開催です。

昨日の戦い方でプレイヤーさん達は負けなかったけど勝てなかったので手法を変更します!!」


よし!ここまではイメージ通りだよ。


「今日は皆さんがログインした時に全員にボーナスを配布しましたよね!そう「悪魔のタマゴ」です!!」


来た!!

あと一声だ。



「でも「悪魔のタマゴを」使用していないプレイヤーはダメージに強くなるだけで面白くないので、このトセトに近づいたプレイヤーから自動的に魔物化をしてもらいます。

そしてただ強くなるだけでは面白くないので今日は死んだら強制ログアウトにします!

不満もあるとは思うけどゲームバランスだから我慢してね!!

それではバトルスタートです!!」


「千歳!悪魔化したプレイヤーが迫ってくる!逃げなくていいのか!?」

「うん、想像通りだよ。これなら頑張れる。今日の敵は倒せば死ぬんだから倒すよ!」


「……了解だ」

「ツネノリ、作戦ね。私は戦えるだけで80%の力でやめなきゃいけないの。ツネノリの負担が増すけど今日は頑張って!!」


「ああ、俺は全開でいいんだな」

「うん」


「よし!」

そう言ってツネノリはアーティファクトの剣を4本作って飛ばす。

森の先にかなりのプレイヤーが居ると教えてくれた。


「悪魔化するまでは倒すのに疲れるから悪魔化した所を狙ってね」

「分かっている!」


森の向こうから迫ったプレイヤーが森を抜けた所で悪魔化をする。

「橙色!?」

「二段階か…じゃあ「悪魔のタマゴ」を二個持ちしているな」


くそ、想定より一段階大変だ。

私の想定では「悪魔のタマゴ」は一つ持ちだったのだ。


「ジョマの上を行かなきゃ。ジョマの先に行かなきゃ勝てない!」

私も追いかけるように光の剣を1本飛ばす。


ツネノリは1分間に3体の悪魔を、私は2体の悪魔を倒している。

今日は早朝のイベントなので人数も8千人くらいだと思いたい。


1分間に5体。

1時間で300体。

6時間で1800体。


…全滅には程遠い。


一瞬計算しなきゃ良かったと後悔をした。


救いなのは悪魔が巨体なので二本の橋は一回に一体ずつしか渡れない。

物量で押し込まれてもこのトセトの島に居る限りは押しつぶされることは無いだろう。



…逃げ場を塞ぐのは良くないが片方の橋は邪魔でしかない。


「ツネノリ、橋を落とすね」

「了解だ。二つともか?」


「ううん、一個だけ!」

そうして橋の裏側に爆弾を仕掛けて悪魔が迫ったタイミングで爆発をさせる。



ジョマの実況が入る

「おっと!今の魔物で300体目が倒されてしまいました!残り約6700体!今日こそ特別枠を倒せるのか!!」


7000人だったのか。

数は1人でも少ない方が良い。


だがこれでようやく1時間。

ツネノリの消耗も気になるが、隠し玉は5時まで出したくない。あまり早いとペナルティになると思うからだ。


「ツネノリ!後4時間は戦える?」

「ああ、まだ身体を動かしていないのが救いだな。アーティファクトの使いすぎだけに気を付ければ何とかなると思う」


「ごめん、大変だけどよろしく」

「了解だ!!」

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