第161話 私を使い潰してでもツネノリを守らなきゃ!

ジョマの実況によればまだ後1時間もある。

長いなぁ…


それはクロウも同じだったのだろう。

クロウはとんでもない行動に出た。


狙いを私ではなく、ツネノリでもなく観客やスタッフに向けてきたのだ。


「嘘でしょ!?」

私は慌てて光の弓をやめて光の剣を飛ばす。


大きく振りかぶったクロウの一撃は水着のお姉さんを狙っていた。


マズい!

私は光の剣でクロウの腕を弾いて隙を作ってツネノリが水着のお姉さんを抱きかかえて逃げる。


だがクロウはそれを予測していたのだろう。

そのままツネノリに体当たりを喰らわせてきた。


「がはっ!!?」

ツネノリはお姉さんごと吹き飛ばされて壁にぶつかる。


「ツネノリ!」

「無事だ…」


そう言うとツネノリは水着のお姉さんに「大丈夫か?」と聞いている。


「私は無事です。ありがとうございます。でもあれだけの攻撃で私が無傷なのは…」

そう言って水着のお姉さんがツネノリの左腕を見ると赤黒くなって腫れている。


「俺の事はいい、逃げるんだ」

ツネノリがそう言ってお姉さんを逃す。


「ツネノリ、腕…」

「折れたな、すごく痛いぞ」


「回復しなきゃ!」

「いや、そんな時間はないな?それに腕だけじゃない、壁にやられたせいで背中も痛むから当分動けない」


「そんな!」

まさかのツネノリの負傷。

私は、どこかでツネノリは大きな怪我をしないと思い込んで居たんだ…


「千歳、逃げろ。ここを離れるんだ。

アイツは俺を狙うかも知れない。

ここに居ては、一緒に巻き込まれてはダメだ。

俺は盾を張ってみる。

仮に俺が死んでも気に病むな」


死ぬ?

嫌だよ。

ダメなんかじゃない。

ツネノリを守らなきゃ。

私を使い潰してでもツネノリを守らなきゃ!


「千歳!髪が赤い!やめろ!さっきから力を使いすぎている!!

父さんや東さんが言っていた。神の力を使いすぎると人に戻れなくなる!」


「やめない。やめないよ。

私がツネノリを守る。

家族5人…ううん、家族9人でご飯を食べるんだ。

ツネノリの居ない家族なんて嫌だ。


私がツネノリを守るんだーーーっ!!


後の事なんか知るか!

今すぐにアイツを殺してやる!!」


私の脳裏にはお父さんとお母さん、金色お父さんとルルお母さん、ノレルお母さん、ルノレお母さん、ノレノレお母さん、そしてツネノリが楽しそうにしている。


それを壊させない。

その為になら私は人間をやめてもいい。


私は光の剣を4本出す。


「切り刻む。

刺す。

爆発させる」


私は一瞬で4本の剣をクロウの手足に突き立てる。

そのまま即座に爆発をさせる。

そして傷口に剣を突き立てて再生出来なくする。


「切り刻んでから殺すよ」

私は5本目の剣を出した…


出した…。


頭がおかしい。

考えがまとまらない。


強烈な眠気が私を襲う。



「だめよ。ブレーカーを落とすわ」

「ジョ…マ…?」

私はそのまま倒れてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る