ツネノリと千歳の章②それぞれの休み。

第147話 お父さん、その情報古いからね。

朝起きると布団の中に金色お父さんがいた。

ルルお母さんに聞いたら4時頃に帰ってきて6時には日本に帰ったそうだ。


「ルルお母さん、起きられなくてごめんね。

朝ご飯のお手伝いをしたかったのになぁ…私疲れてたのかな?」

「気にするな。そう言うものだ。千歳はこれまで沢山の緊張を強いられてきたのだ。今回の休みはちょうど良かったのだろう」


今の時間は8時になる所だった。

私は昨日ルルお母さんと洗った服に着替えると、ルルお母さんがくれたポーチに替えの下着とかを入れる。


「後1時間したらツネノリの所に行かなきゃなぁ…」

そう言いながらルルお母さんが作ってくれた朝ご飯を食べる。


「名残惜しいのか?」

「そりゃそうだよ。ここは凄く居心地いいしルルお母さんと居るのは楽しいもん」

昨日の夜、お父さんがツネノリの所に行ってから2人で夕飯を作って食べてのんびりお風呂に入った。


あのパイの出来は良くてとても美味しかったし、ルルお母さんが作ってくれたイノシシとクマのハンバーグも美味しかった。

2人でお互いを褒めながら楽しく食べた。

お風呂も大きいお風呂で、2人で入っても広くて快適だった。


そしてルルお母さんは何を聞いても嫌な顔をしないで色々と話をしてくれる。

まあ、お父さんとの事を聞くと照れてしまって途中でノレルお母さんが出てきて「ルルってばツネノリには話せるのに千歳には恥ずかしいみたい。同じ女性だからかしら?」と言われてしまった。


そのまま「私はルルほど話せることはないけど千歳と沢山話がしたいと思っているの。ルルから30分だけ時間を貰ったから話をしてくれないかしら?」と言われてノレルお母さんと話をした。


ノレルお母さんは私に色々聞いてきて、好きな色とか好きな季節の話をした。

好きな色は赤だったが、ルルお母さん達に会ってから青も赤も紫も灰色も好きになったと言ったら喜んでくれた。


「私は青が好きだけど千歳が赤を好きなら赤も好きな色にするわ」とまで言ってくれた。


私は甘えて抱きついたらノレルお母さんは嫌な顔をしないで優しく抱きしめてくれて「ネックレスありがとう。凄く嬉しかった。神如き力の事はとても心配だけどルルもいる神様も私たちもいるから不安は全部口にしてね」と言ってくれた。


日本にいた時、お母さんとこんなに話をしたのはいつだろう?

日本に帰ったらお母さんとの時間も一度作ったほうがいいかも知れない。


時間をかなりオーバーして45分経った頃、「ルルが物凄くヤキモチ妬いているからもう戻るわ。千歳、今日は一日ありがとう。とても楽しかった。また逢いましょうね」と言ってノレルお母さんはルルお母さんに戻った。


「まったく、私が注意しなければ何時間でもノレルだったぞ!

千歳、それでノレルとは何を話した?」

「え?ルルお母さんは話した事を知らないの?」


「ああ、私も秘密にしたい事は隠しているし、ノレル達も知られたくない事は隠している。

ノレルは普段そんな事をしないのだが余程千歳との事は内緒にしたいのだろうな」

なんと、ルルお母さん達は4人で1人なのに内緒に出来るらしい。


「んじゃあ、私も内緒にしておくよ。

それに変な話は何もしていないし。

色々と質問をされただけだよ」


「むぅ…、内緒にするのならば致し方ないな。詮索はよしておこう」

ルルお母さんは不服そうにそう言ってくれたので私はルルお母さんにも抱きついて「ルルお母さん〜」と言いながら抱きしめた。


「こら、どうした急に?」

「ルルお母さんが優しいから抱きつきたくなったの〜。ダメ?」


「ダメな事などない。

千歳も今更千明にも甘えられないだろうしな。

思う存分甘えてくるがいい」

「いひひ、嬉しい。ありがとう」


「まったく、ノレノレみたいな笑い方をして。

少ししたら茶を淹れるからそれを飲んだら少し早いが寝ることにしよう」

「今日はお父さんが居ないからあの大きな布団を2人でゆったり使おうね。

でも寝る前にもう少し布団でダラダラしようよー」


「ああ、構わないぞ」


そんな昨晩の事を思い出しながら食べるご飯は進みが悪い。


だがイベントを完全解決する為には私がやらなきゃいけないんだ。

そう思ってご飯を食べ終わり身支度を整えた所で東さんが目の前に現れる。


「おはよう千歳、おはようルル」

「おはよう東さん」

「おはようございます。どうされました?」


「うん、千歳には申し訳ないのだけど、ジョマから連絡がきてね」

「ジョマから?」

「何事ですか?」

これにはルルお母さんも驚いた感じで東さんに聞く。



「昨日、千歳抜きでやれたイベント、ツネツギやツネノリもあまりグイグイいかなかったのだが、プレイヤー達にはそれが好評だったらしくて、今日もツネノリや千歳抜きでイベントを楽しみたいと言う意見が多くきてしまってね」

「え?」

「なんと…まぁ…」


「折角やる気を振り絞ってくれた千歳には申し訳ないのだけど今日もお休みで頼むよ」


「はーい」

正直面白くない気持ちもあるが戦わないで済むのならそれはそれで嬉しい。


「それでは千歳とツネノリは?」


「ルルには済まないと思うが、今日もこの家で千歳と居てくれないかな?

ツネノリは本人の希望を聞くよ。

ただジョマからはツネノリのゼロガーデン行きは認められないと言っていた」


「やはりそうなりますか…、千歳、今日は少し作業をしたいのだがそれでもいいかの?」

「うん、今日もお世話になります。ルルお母さん」


「千歳はツネノリの所に行きたがるかと思ったよ」

東さんが不思議そうに私を見るとそう言った。


「えー、ツネノリが気にならないと言えば嘘になるけどそれこそ明日からまたツネノリとの生活だし、ルルお母さんとは今日が終わると当分会えなくなるから今のうちに沢山一緒に居たいんだよね。

あ、今日は金色お父さんも居るんだ」


「じゃあそれをツネノリに伝えておこう」

それじゃあと東さんは帰って行く。


さてと…

「ジョマーっ!何で来ないの?ふてくされているの?」

私がそう呼ぶとジョマがむくれながらやってくる。


「千歳様…」

「イベントに参加できない私が悔しがらないのが嫌だったの?

プレイヤーから私達抜きでやりたいって言われたのが面白くないの?」


「もう、わかっている癖に…、どっちもですよ」

そう言ってジョマが抱きついてくる。


「ずっと呼んでくれなくて面白くなかったです」

「あはは、ごめんね。

今日の午後はこの前みたいにお茶しようよ。

ジョマも東さんも仕事しながらでも来られるよね?

今日は東さんとジョマで、ルルお母さんが喜びそうなお茶菓子を持ってこれた人が勝ちってやるの」


「お茶ですか?」

「うん。お茶は嫌?」


「嫌じゃありませんが…」

そう言ってジョマはルルお母さんを見る。


「私は構わないぞ」

ルルお母さんは何も気にしない顔でそう言う。

と、言うか内心お菓子に心が躍っていそうだ。


「ジョマは来たくない?」

「いえ、来たいです」


「じゃあ決まり!3時に来てね!東さんもだよ!」

「千歳には敵わないなぁ…。でも勝負といっても本気の勝負にはしないからね」と東さんの声が聞こえてきた。


「じゃあ、3時にきますね」と言ってジョマが消える。


私は即座に服を脱いでルルお母さんの服を出してもらう。

昨日の服は薄紫だったが今日の服はノレルお母さん向けの薄い青紫の服でちょっと嬉しくなった。

私が出してもらった服を着終わると奥から金色お父さんが現れる。


「なんだ朝から騒々しい…。

あれ?千歳はまだ居るのか?ツネノリが待っているだろうに…

ひょっとして東の奴を待っているのか?呼んでやるぞ」

と金色お父さんが眠たそうに起きてきた。


「お父さん、その情報古いからね」

「ああ、ダメダメだな」

私とルルお母さんがヤレヤレと言っていると金色お父さんは「え?なに?」と驚いていた。

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