神の章○共同作業。

第133話 後はジョマと僕がなんとかする。

今の千歳は異常だ。

そしてその異常に気が付いた親たちが今僕を見て僕の見解を待っている。


「今の千歳の異常は3種類だ。1種類で片付けてはいけない」

「3種類だと?」


「ああ、ツネジロウ。3種類だ」


そして僕は皆に説明をする。

・性格の豹変

・時間の支配

・痛覚の付与

この三つを今だけで確認している。


「性格の豹変は、ルルやジチが思った通りだ。キヨロス。君に引かれている」

「僕?どうして?」


「今朝、千歳と話していて、「革命の剣」を教える為に君は何をした?」

「え?「意思の針」で説明を…」


「それだよ。キヨロス自身も驚いていただろう?「意思の針」で送ろうと思った以上の情報が千歳に流れたことを…」

「そうだ…僕は剣の情報だけを渡すつもりだったのにチトセは僕がどう言う戦い方をしたのかも知っていた」


「恐らくその時にキヨロスの性質も読み取って今はそれに流されているんだろう。それで怒った感じが似ていたのだ」


その説明で皆が納得をしている。


「だが、そこが問題なのではない。本質は何故千歳が「意思の針」の情報を送り主の意思を無視して読み取れたかだ。それは後の二つに繋がるだろう」


「それでも十分にタチが悪いぞ」

「うむ…千歳が心配だな」


「次、時間支配だ、メリシアの指摘通りツネノリならホテルまで5分もあれば着くんだ。

それなのに未だツネノリは到着をしていない。それは多分…神の力が行使されている」


「神?東がやっているのか?」

「僕はやらないよ、そしてジョマでもない」


「じゃあ誰が?」

「千歳本人だと僕は思っている。続けるよ…

本来、プレイヤーには痛みのない世界であるセカンドにおいてあの悪魔化したプレイヤー達が痛みを訴えているのは何故だと思う?

僕はそれも千歳が痛覚付与をしたのではないかと思っている」


「千歳が…だと?」

「ああ、ツネジロウとしてではなくツネツギとしての日本の話だ。

日本では神隠しに遭い神の国に行った子供が帰ってくると神通力を得ると言う話を聞いたことがある。千歳は僕の世界の子供ではない。地球の神の世界の子だ。

そして今はジョマの力で魂だけの存在でセカンドに居る。

その影響が出たのだと思う」


「東、概要はわかった。それで千歳はどうなる?」


「千歳は元に戻るのか?」

「…このまま神の力を行使してしまうと難しい」


「東!」

「ああ、僕が神の世界に連れて行ったからだ…、だから責任は取る」


「何?」


「今からガーデン全てを完全な0と1の間にしてホテルの人間以外を停止させる。

そしてその間に千歳を助ける」

「やれるのか?」


ツネジロウの心配も当然だろう。

今までの僕は唯一の神として力を振るえていたが相手もまた神の力を振るうとなれば別だ。


「僕1人では五分五分だろう…正直この方法は取りたくなかった。

だが千歳の心を失う事だけは避けたい。

ジョマ!!」


僕は倒すべき女神の名を呼ぶ。

次の瞬間、彼女は僕たちの前に姿を表す。


「東…」

「呼び立てて済まない」


「いいわよ。千歳様の為だもの…、千歳様も私なんかの為に神の世界に赴くなんて無茶し過ぎだったのよ」


「なんかと申すな」

ルルがジョマを注意する。


「はい。千歳様は後悔していません。

全部ジョマ様の為にした事です。

千歳様はこの危険を知っていてもやったと思います」

メリシアも千歳を語る。


「ああ、それが俺の娘だからな」

ツネジロウも当たり前だと言う。


「それで?どうやってチトセを助けるの?」

キヨロスが疑問を投げてくる。


「まずは戦いから切り離す」

「ああ、キヨロスくんと同じね。アーティファクトを使いすぎた後は戦いとかから遠ざけて元の優しいキヨロスくんに戻って貰うのよね」


「ああ、そうだ」


「その後は?」

「ツネジロウ、ルル…、僕たちと来て欲しい。

君達親子と僕たち神で千歳の怒りを沈める。

そして僕とジョマで千歳の神如き力を封印する」


「…それはいいのか?」

ツネジロウがジョマに聞く。


「何がかしら?」

「これもまた千歳の成長と思わないか?

親が子供のことに乗り出してきたと思わないか?」


…確かにそうだ。

ジョマは許さないかも知れない。


「普段の私ならそう言って怒るけど千歳様の為なら不思議とイライラしないのよ」


「ジョマ…、済まない」

「あら、ルル様が頭を下げるなんて…」

「子の為なら親はなんでもする」

「そう」

そう言ってジョマがまんざらではない顔をする。


「お前は僕に似ている気がする。使いの事が無ければ仲良くなれる気もする。

チトセの事を頼むよ」

「王様からそんな事言われる日が来るなんて思わなかったわ、それに私は自信を持って行動しているから悔いる事も謝罪する事もしないって決めているのよ。

それでも言うわ…

あなたの奥様を私の使いが殺めたこと…

ごめんなさい」


僕は正直驚いた。

これも千歳のおかげだろう…

千歳のお陰でジョマが変わった。

その恩に報いる為にも僕は全ての力で君を助けるよ。


「それに千歳様の事は王様に頼まれなくても頑張るもの、そこに頼まれたから本気出さなきゃダメね」

「ジョマ…、謝ってくれてありがとう。

僕はこれで先に進める。

心から君の完全解決を願える」


「ふふ、ありがとう。

奥様達がヤキモチ妬くからダメでしょうけど出来たら沢山話がしてみたくなったわ」

「そうだね、教育について意見を交換してみたいよ」


「よし、それでは行こう。

ルルとツネジロウは僕に話を合わせて。

後はジョマと僕がなんとかする」

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