第132話 感化…ですか?
冷たい声で怒った千歳様が光のメスで瞬く間に悪魔達の手足を何回も貫通して滅茶苦茶にする。
悪魔達も「爆裂」を使用してメスを防いだりしたのだが千歳様には通用せずに攻撃の隙間を狙って的確に手足を突き抜けて行く。
さっきまでは「グロい」と血を見るのも身体を貫通する時の感覚も嫌がっていた千歳様だったが今見える千歳様は別人のように意に介さずに攻撃の手を止めない。
「やっと本格的に攻撃ができるね」と千歳様が清々しい表情でそう言う。
「おい!千歳!!ルル音声を繋げ!!」
「ああ!だが千歳はどうしたと言うのだ?あの怒り方は千歳ではない…まるで…」
そう言ったお母様がキヨロスさんを見る。
「ルル?音声繋げるの待ちなよ。
今邪魔をするとチトセも危ないよ。
悪魔達だってあの悪魔ならあっという間に回復して襲いかかってくるよ」
そのキヨロスさんは嬉しそうに千歳様を見ている。
「でも本当、チトセってキヨロスくんみたいな怒り方をするね?奥さんのお姉さんも似ているって思うよ」
ジチさんが珍しそうに千歳様を見る。
周りにいた他の人達は余りの迫力に言葉を失っている。
「イメージ…するまでもないや。
刺す。
抜けない。
思い知らせる。
顔も見たくない。
【アーティファクト】」
千歳様がそう言うとさっきまで千歳様の周りを漂っていたメスは形を変えて20本の太くて長い釘のようなものになる。
「とりあえず見せしめ。行って」
その声で5本の釘が一体の悪魔の再生し始めていた両足に深々と突き刺さる。
「ぐぁぁぁっ」
悪魔は再生した腕を使って釘を引き抜こうとするがそれもうまくいかない。
「無理だよ…この釘には返しをつけたんだ。見る?」
そう言うと千歳様の横を漂う一本の釘が形を変えて刺さる部分が広がって抜けにくくなる。
「何すんだよ!クソ女!!痛え!痛え!!」
「うん、痛いよね。返しが根のようにアンタに広がっているんだから。
何をする?
こうするの【アーティファクト】」
その声に合わせて刺さった釘が爆発を起こす。
辺りに黒い血と肉片を撒き散らせた悪魔はあまりの事に悶絶をする。
「ぐぁぁぁっ!!」
「お…おいっ?」
「やめろよ」
残り二体の悪魔が千歳様に止めるように言う。
「良いじゃん、アンタ達は死んでも強制ログアウトで明日には復活出来るんだから。
でもサイバの人達は死んだら復活なんて出来ない、それなのに襲う?そんな奴は苦しんで死ねば良いんだ」
千歳様の声に合わせて残りの釘が足を吹き飛ばされた悪魔の全身に突き刺さる。
「ぎゃっ!?」
「お…おい…、やめろよ!」
「ダメ、アンタ達は死ぬの。明日生き返るんだから良いよね?
でも、選べるの」
「選べる?」
悪魔が情けない声で千歳様に聞く。
「うん、ホテルを襲いたいって言った悪魔を教えてくれたら今すぐ死ねるの。
言わなきゃ苦しんで死ぬの。
どうかな?」
「お…俺じゃない!」
「そう、じゃあ誰?」
「…」
「言わないの?」
そう言うと腕に刺さった一本が爆発する。
「うん、唱えないと威力が低い気がする。
でも尋問にはいいかもね」
「本当に俺じゃない、でもわからないんだよ!!」
「何で?」
「見た目が同じだろ?俺以外がどうかなんてわからないんだよ!」
「確かにそうかもね。
じゃあ、そこで待っていてね」
そして千歳様が次の悪魔を見る。
「ひっ!!?」
悪魔は手も足も再生していたのに立ち上がらずに千歳様を見つめている。
「ねえ、ホテルを襲うって言ったのはあなた?」
その声に合わせて釘が数本腹部に刺さる。
「ぐぁぁぁっ!!痛ぇ!!」
「じゃあ教えて?あなた?」
千歳様の顔がとにかく怖い。
それは次元球のこちら側にいる私も怖いと思った。
「俺じゃない!!」
「ふーん…嘘だったらあの人が酷い目に遭うね」
そう言って最後の悪魔に釘を刺す。
「ぎゃっ!!」
「もう一回3人に聞くね。ホテルを襲おうとしたのって誰?」
「「「俺じゃない!!」」」
「ふーん…」
千歳様の声に合わせて釘が一本爆発した。
「終わらないよ」
そう言うと新たに精製した釘が悪魔達に刺さる。
…おかしい。
この映像はおかしい。
ここまで見た私は疑問に思う。
「お母様!!」
「なんだメリシア?今それどころでは…」
「ツネノリ様は何でまだホテルにつかないんでしょうか?」
「何?そうだ…、何でだ?それにあの千歳の異変は何だ?」
「東!!!」
ツネジロウ様が神様を呼びつける。
「ああ、見ているよ。あの千歳は確かに異常だ。おそらく感化されている」
「感化…ですか?」
「ああ、メリシア…、千歳は完全解決に向けて神の世界に足を踏み入れた。
その影響が出ているんだ…」
神様が話し始めた。
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