第102話 あのツネノリにお願いされたのだぞ?何としてもやり遂げるしかなかろう?

「待たせた!」

そう言ってツネツギが私の元に帰ってきた。


「別に…」

私は不機嫌をアピールする。


「どうした?何かあったか?」

「何かだと?千明だ。なんだあの態度は?

生身でセカンドに来たことはすごいと思う。

確かに千明抜きでツネノリの再起は難しかったと思う。

だがなんだ、ツネノリを抱きしめて母と呼ばせて」


「千明だって母だろう?

ルルだって千歳の母だろう?」


「それはそうだが」

だが面白くないのだとは言えない。


「ルルはヤキモチ妬きだからな」

ツネツギはそう笑うと私を抱きしめる。


「別に私はヤキモチ妬きなんかではない!」

「はいはい。俺にも妬いてくれていいんだぜ?」

そう言うとツネツギはより一層力を込めて私を抱きしめる。


「コラっ」

ツネツギが有耶無耶にしようとしている。


「じゃあこのままで俺のルルが考えてくれたサイコーに凄い計画を話してくれ」

俺のルル…?

凄い!?

そう言われては仕方がないな。

だがこのまま?

話しにくいったらないがツネツギが望むのなら仕方ない。

全く、ツネツギはいつも甘ったれで困る。


「神にも計画名を聞かれた。「奇跡の少女」そう書いてマリオンと読む」

「それって…」


「ああ、必要な人材は全て集めた。

ツネツギに話して反対されなければ今すぐ始める」


「うまく行くのか?」

「私を誰だと思っておる?私達にはマリオンと言う成功例も居るだろう?そして神からも頼まれた。うまくいけば次を頼みたいそうだ」


「ボウヌイか…」

「ああ多分な、神は更に先まで期待していたがな」


「先か…、確かにそこまで出来たらサイコーだな」

「わかったら離せ。私は忙しい」

ツネツギは素直に私を離す。


「なあ、水と水槽は足りるのかよ?」

「いい質問だな、足りないからコレが成功したらボウヌイの為にそこから始める」


「じゃあ、当分一緒に居られないかな?」

「いや、諸々手配済みで0と1の間で作業を行う。

あそこなら一瞬で永遠だ、すぐに帰ってくる」


「苦労をかけるな」

そう言うとツネツギは再度私を抱きしめる。

全く、私が抱きしめられるのに弱いと思っておる。

まあ実際に悪い気はしない。


「お安い御用だ。千明があそこまでやって私がやらないわけがない。それに私…と言ってもルノレだが、あのツネノリにお願いされたのだぞ?何としてもやり遂げるしかなかろう?」

「え?ツネノリにお願いされたの?貴重だな」


「そうであろう?ここが天才アーティファクト使いの面目躍如だ。だから待っておれ。

あっという間に片付けてくるわ!」


「わかった。なら任す。よろしく頼む」

ツネツギがそう言うと後ろに神が立っていた。


「話はついたようだね」

「東…」

「はい、それでは私を死者の間へ。

あ!ツネツギひとつ頼まれてくれ!」


「なんだよ?」

「相手の親御さんに許可を得ていない」

「あ」


「キチンと生き返る話をしてきてくれ」

「成功するんだよな?」

「当たり前だ!」


「東?葬儀とか遺体の処置とかなんて言えばいい?」

「葬儀はやってもいいけど遺品の整理だけはやめるように言ってくれよ。

遺体は…、本人が帰宅した時に僕の方でなんとかするよ」


「わかった」

そう言ってツネツギは消えた。


「さあ、ルル?用意はいいね?」

「はい」

私の目の前は真っ暗になった。

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