第61話 俺の息子に一体何をした!!

俺達はセンターシティのホテルに転送されてきた。

話は後でしようと言って千歳を風呂に行かせる。

俺はベッドに寝かせたツネノリを見ている。


子供の頃から変わらない寝顔。

全部、…全部とは言っても限界はあるが、親としては全部知っていた気になっていた。

腕にできた傷。これはルルに木の実をとってこようとして落ちる際に枝に引っ掛けて出来たものだ。

足に出来ている傷はトドメを刺し忘れた高速イノシシに噛みつかれた時のものだ。


こうして知っていると思ったのだ。

だが、今日のツネノリは何だ?


知らないにしても度が過ぎている。

その事が俺を激しく苛立たせた。



「ツネノリ…」

俺はつい言葉にしてしまった。


その言葉でなのかはわからないがツネノリは目を開ける。


「父さん…ここどこ?保護対象の人達は?」

「ああ、保護対象の人達は200人全員無事だ。そしてここはセンターシティのホテルだ」


それを聞いてツネノリは安心した顔をした。

「そっか、よかった。千歳も凄かったね。いろんな事を思いついていた。

父さんも1人で沢山敵を倒したのに…、俺は気絶しちゃっててごめん」


…ツネノリは倒れている間の記憶は無いのか?


「ツネノリ…」

「ごめんね父さん」


「いや、聞いてほしい。最後の300人を倒したのはお前だツネノリ」

「え?」


「お前が1人で倒した。覚えてないか?」

「…うん。一人で?どうやって?」

ツネノリは信じられないと言う目で俺を見る。


「夢を見ていたようだった。

夢の中でお前は誰かを先生と呼んでいて、その先生との修行を反芻するみたいに光の剣を二刀流にして敵を圧倒していた」


「夢?…俺、夢を見たよ。夢の中で俺は子供だった。目の前に居た男の人から剣を教わっていた」


「そうか」

「それで…、先生は天才だからすぐ出来たことでも俺は時間がかかっていて、でも先生は一瞬で永遠だからって言うんだ」


一瞬で永遠…、もうすべてわかった。

ゼロガーデンの仲間達と俺は何回か会っている。

その時に天才の話も一瞬で永遠の話も全部聞いた。


「わかった。全てをハッキリさせよう」

「え?」


「東!!!」


「聞こえているよ」と言って目の前に東が現れた。

「お前、よくもそうやって平静を装って居られるな?」


「そうだね。ツネツギは怒ると思っていたよ」


「ツネノリが起きるのを待っていたのか?」

「いや、ゼロガーデンでルルに全てを説明してきた」


「お前!!」

俺は東を殴りつけていた。


「父さん!!」

ツネノリがベッドから起き上がって俺を制止する。


「いいんだ、ツネノリ。ツネツギの怒りはもっともだ」


「お前!俺の息子に一体何をした!!」


「え?」

ツネノリが驚いた顔で立ち尽くす。


丁度そこに千歳が戻ってきた。

「ツネノリ!大丈夫!?」


「え…あ…?千歳?」

ツネノリは混乱してしまっている。


「お父さん!!ツネノリに何をしたの?

東さんは殴られたみたいになっているし!

お父さんは何をしたの!?」

千歳は俺が何かをしたと思って俺に怒っている。


「千歳、俺じゃない。

全部は東だ…

俺はツネノリの父として東を殴った」


「何で?」


「さあ東…話せ。俺の…俺達のツネノリに何をした?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る