第30話 千明でいいわよ。
最初に主人から千歳にこのガーデンの住人はAI何かではなくこの世界に生きる人間だと説明して貰った。
だが、千歳は「バカにしている」「そんな事ある訳がない」と言って頭から否定した。
「東、今だけ時の流れを遅くするか、寝ないでも千歳やツネノリが疲れないように出来ないか?」
「いいよ、両方やろう」
と東さんが処置をしてくれる。
「千歳…俺達は嘘なんかつかない。まずそれを信じてくれ。
そして話せる範囲で長い話をする。ツネノリも聞いていて欲しい」
「うん、俺はちゃんと聞くから平気だよ父さん」
ツネノリくんは前向きに主人の話を聞こうとしている。
主人と東さんの話はガーデンの成り立ちからだった。
最初は話を信じなかった千歳だったが、東さんがこそっと千歳しか知らない秘密、今考えている事等を全て言い当てた事で神様だと言う事をようやく信じていた。
「で、東さん…神様が地球の神様の所に傷を癒しに来ていて、その時に最初のガーデンを作ったって事?」
「ああ、そうだよ千歳。」
「そしてその世界に魔女?…さっきのジョマがちょっかいを出してきたと」
「大体はそんな感じだね」
「それで、その影響で約20年前にお父さんは最初のガーデンに勇者として召喚されたと」
「そうだ、信じてくれるかな?」
「…普通なら信じないけど神様の力を見せて貰った後だから信じる」
「それでいい」
「ガーデンの人たちはPC上に作られた世界なんだけど、世界の人たちはちゃんとした命でAIではない」
「ああ、そうだ。すべて僕が作ったんだ。ゲームとして存在するファーストガーデンとセカンドガーデンの人間達は全てスタッフとしてテーマパークの人たちのように外からくるプレイヤーを楽しませる仕事をして貰っている」
「そして神様がガーデンに帰ってくるまでガーデンから帰れなくなったお父さんは、そこで結婚をする」
「ああ、俺は約20年前にガーデンで結婚をした。」
「その後、神様が来て帰れるようにはなったけど、ガーデンに家族が居るから帰りたくないお父さんの二重生活が始まって今になる」
「まあ、その認識でもいいんじゃないかな?」
「それで、その世界の維持費を稼ぐために、次のガーデンを作って、大ヒットしたけど更に次のガーデンが必要になって作ったのがここってことでいい?」
「ああ、それでいいよ」
ようやく千歳が少し理解をしてくれた。
「それで、お兄さん…ツネノリさんは最初のガーデンに住んでいるから私のお母さんとは子供の頃に会った事があるだけだと」
「ああ、俺も千歳のお母さんに会ったのは覚えていない」
私はツネノリくんに「千明でいいわよ。いちいち千歳のお母さんだと疲れちゃうわよ」と言ったら照れ臭そうに「では千明さんで…」と呼んでくれた。
「ここまでの話は大体理解してもらえたようだが、何かあるか?」
主人が千歳に聞く。
「何でお母さんと結婚をしたの?」
「…千歳、それはこの先で話す。今はこの世界の状況、後は俺達の状況を知ってほしい。」
主人が呆れてしまっている。
そして主人が今の状況を説明しだした。
・ジョマはゼロガーデンを滅ぼしかけた魔女の神様で、何らかの目的で東さんの世界にちょっかいを出してきている事。
・魔女の神様の力によって、千歳とツネノリくんは今のイベントが終わる、外の世界で7日間、セカンドガーデンの時間で21日間はそれぞれの世界に帰れない事。
・そして本来、ゲーム中の死が存在しないセカンドガーデンでの死が現実世界の死に繋がる事。
「わかったか千歳?」
「うん、大体は。でも何でジョマって20年経ってからガーデンにちょっかい出しているんだろうね?」
千歳の何気ない質問で部屋の空気が緊張した。
「え?え?」
千歳は驚いて主人と東さんを見る。
「魔女は作業をしていたと言っていた」
「ああ、僕はこれからそれを地球の神に聞いて来ようと思う」
「恐らくだが…」
「ああ、多分ツネツギの想像通りだろう」
「え?何?」
「父さん?」
千歳とツネノリくんはわかっていない。
「…魔女の言う作業は他の神が作った世界を滅茶苦茶にしてきたんだと思う」
「「そんな!!?」」
千歳とツネノリくんが同時に驚く。
「壊すだけ壊してきたから、今度はガーデンに着手したんだと思う」
その言葉で子供たちは言葉を失ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます