ツネノリの章②出会い。

第16話 お前は魔女か!?

あの光に飲み込まれてどれだけの時間が過ぎたのだろうか?

目を開けると目の前はあまり広くない部屋だった。

そして部屋の真ん中に父さんの腕輪とお揃いの腕輪が置かれて居た。


これが「勇者の腕輪」…、これが俺を呼んだのか?

俺は父さんの言いつけを守って腕輪を装備する。


父さんは念じても剣が出ると言っていたので試してみる。

無事に剣は出た。


盾は剣と同時には出ないが盾だけなら試すと出た。

だが昼間父さんが見せてくれた盾には似ても似つかない。

これが唱えた場合と念じた場合の差か…


そう思っていると突然部屋の中に1人の女がいた。

「あら、もう起きているのね。そして先に腕輪を装備しているなんて用意のいい子」


「あなたは?」

俺は思った事を聞く。


「そして状況を把握するためにキチンと行動する。

お父様とお母様の育て方が良かった証拠ね」


「父さんと母さんを知っているのか?」

「ええ、知っているわ」



そうして笑った顔がとても恐ろしい顔で俺は思わず身構えた。


「アハハハ。大丈夫よ私からは何もしないから。

あなたの質問に答えてあげる。

私はジョマ」


「ジョマ!?お前は魔女か!?」

その名前は散々読み知っていた。

母さんが書いてくれた父さんの話にも書いてあった。


「あら、詳しいわね。誰に聞いたのかしら?」

「母さんだ!」


「あら、それはそれは…。

話が省けて助かるわ。

じゃあ、わかっているわよね?

あなたを召喚したのは私よ」

やはりそうなるか…

だが目的はなんだ?


「やぁねぇ、睨まないで。

ちゃんと説明してあげるから。

ここはセカンドガーデンよ」


セカンド!?

なんでわざわざセカンドに呼ばれる?


「あなたはどこまで知っているかしら?

今度ね、貴方のお父様みたいに意識…そうね、魂だけでセカンドに来れる人が増えるの」


「ああ、知っている」

「そうよね、あなたのお父様ってば数多くのお店にお願いしてメニューとか家具とか貰っていたものね。

今日はね、それのイベント日なの」


「何をやるかは知らないが、それも父さんから聞いた」


「あら良かった。話が早くて本当に助かるわ。

このイベントはね、従来の形でセカンドに来る初心者と、お父様や今のあなたみたいに…と言ってもあなたは生身で来ているのよね。

魂でセカンドにくる初心者に実際にセカンドを体験してもらうの。

あなたはその特別招待枠で私が呼んだのよ」


「特別招待枠?」

「ええ、そうよ」


「何のために?」

「あら、ゼロガーデンに帰せって言わないのね?なんで?」


「帰せと言って帰すなら、元々呼んだりしないだろ?

だから聞くんだ。

何をしたら帰れる?」


「アハハハ!あなた素敵よ!気に入っちゃった!

そうね、一つはお父様が頑張って作ったセカンドガーデンを体験させてあげたかったのよ。

後はそうね、追々話すことにするわ」

満足そうな魔女の笑顔。


「あなた…ツネノリくん、お腹は空いてない?

これから先は長丁場よ。何か食べない?」

長丁場?何があるんだ…


「あら、安心してよ。毒なんて入ってないわ。

みんなあなたのお父様が外の世界から仕入れてきたものよ」


そう言って魔女は肉厚なハンバーガーを持ってきた。


「それ食べたら少し休んでいて、出番になったら召喚するわ」


そう言って魔女は消えて行った。

食べてみたハンバーガーは昔父さんが食べさせてくれたハンバーガーに似ていてとても美味しかった。

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