第15話 グロい、グロい!!とにかくグロい!!

とにかく私は生き延びなければならない。

死ねばおしまいと言う言葉がある以上、私は死ねない。

攻撃を食らってはいけないのだ。

なのでまずは周りを見る。


ガタイの良い男が光の剣を腕から出してホルタウロスに向かって走って行く。

ガタイの良い男の身長は180センチくらいだろう。

それよりもホルタウロスは更に大きい。


光の剣で斬りつけると簡単に切れるようだが、とにかくホルタウロスの出血がエゲツない。


「うひょー、VRすげぇ!」

痩せた眼鏡の男が喜んでいる。


「残酷描写、カットしたいな…」

気弱そうな男がそう言って顔を背ける。


18歳以上でこれなのだ。


「私の教育に良くない!」

思わず声にしてしまう。


「面白いね、君ってちゃんと設定を守るんだね」

佐藤が話しかけてくる。

設定じゃないもん。


「じゃあ、君は死ねない設定なんだよね?

僕が守るよ!」


そう言うと佐藤は光の盾を出して私の前に立った。


ホルタウロスはこん棒を振り上げて斬り込んで行ったガタイの良い男を狙う。


一撃…

一撃でガタイの良い男は潰れた。

そしてその場所に真っ赤な血溜まりが出来ている。


「グロい、グロい!!とにかくグロい!!」

私は堪らずに顔を背ける。


「あ、やっぱりグロいんだ…、僕の方にはただ男の人が倒れている風にしか見えないんだよね」

私は正直佐藤が羨ましかった。


「ここでヒントでーす!」

ジョマが割り込んでくる。

だが今もホルタウロスの猛攻は続くので話に集中も出来ない。


「かなりの威力、かなりの防御力を誇る光の剣と光の盾ですが、同時使用は出来ませーん。

盾を使いたい人はキチンと剣をしまってから使ってね!

後、やられちゃった男の人は15分のペナルティで終わると復活するからそこで待っててねー」


盾と剣が同時使用出来ない?

何でそんな大事な事をこのタイミングで言うの?


とりあえず私は盾を張って身構える。

佐藤も盾を張っている。


「伊加利さん…って呼ばせてね。僕が守るから」

佐藤が照れ臭そうにそう言う。


お、案外佐藤はいい奴かも知れない。


だが、次の瞬間には佐藤は盾ごとホルタウロスに吹き飛ばされて肉塊になっていた。


「ごめん、伊加利さん…やられちゃった」

佐藤ぅぅぅっ!!!


「何この盾?弱いの!?」

「伊加利さんは何とか逃げて」

肉塊になった佐藤が私に話しかけてくる。


「肉塊が喋る!キモい!!」

「ご…ごめん」


そして周りを見ると私と見慣れない男の人しかいない。

他の20人は皆肉塊になってしまっている。

グロいなー、地獄絵図だよこれー。


あれ?

私、この男の人を見たことある?


あ、ホルタウロスが男の人にこん棒を振りかぶった。

あの人も死んじゃう!?


そう思ったが、男の人は何かを叫んだ後盾を出してこん棒を受け止めた。


あれ?受け止められた?


「やっぱりだ!!」

そう言った男の人はまた何かを叫ぶと剣を出してホルタウロスを斬りつける。


剣はさっきまで他の20人が出していたものより強力でホルタウロスは膝をつく。


そして男の人はこちらに走ってきた。

何なになに?

近づくと最初黒髪かと思った髪の色は綺麗な紫色だった。


「千歳!お前は俺が守る。剣と盾を出す時はアーティファクトと唱えるんだ!」


いきなり紫の髪の男の人は私の名前を呼んで守ると言ってくれた。

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