伊加利 常継の章①変異。
第10話 俺の子供が召喚されちまったんだよ!
くそっ!何が起きた。
今日は一体何なんだ!?
何でツネノリが何処かに召喚されなければならない?
俺は泣いているルルを見る。
「ツネツギ、ツネノリは…ツネノリは無事だろうか?」
「大丈夫に決まっているだろう?俺が探しに行ってくる」
「アテはあるのか?」
「神様の所に行って探させるさ」
俺はそう言ってルルに行ってくると伝える。
次の瞬間、俺は日本に居てVRの端末を頭に付けていた。
「東!東っ!」
開発室を見回すが住人、もとい土地神になりつつある神様の姿はない。
くそっ、普段は帰れって言っても帰らないのに何で居ない?
俺は出入口のホワイトボードを確認する。
ああ…、VRテストのイベント参加、事前準備に駆り出されているのか…。
俺はスマホを手に取る。
スマホには千明…俺の嫁さんからの着信が入っている。
千歳の事かと思ったのだが、今は娘もピンチだが息子もピンチなのだ、スマホには映し出された千明の名前に「すまん」と言ってから東に電話をかける。
多分、イベント中でセカンドの中に居るかも知れないが東は電話に出る。
そう言う仕様になっている。
「はい?どうしたの?珍しいね常継」
明るい東の声。
いつも通り他所行きの声が俺を出迎える。
「緊急事態だ!仕事中なのはわかるが同時進行してくれ!」
「その慌てよう、かなり珍しいね。いいよ。じゃあ今からそっちにも行くから」
そう言うと目の前に東が現れる。
「どうしたの?」
「俺の子供が召喚されちまったんだよ!」
「召喚?」
「ああ、あの召喚のされ方は「勇者の腕輪」と同じ感じがした」
「でも、腕輪は君の腕に装着されているだろ?」
「だから変なんだよ、それに俺の子供が何処に召喚されたのかもわからねぇ」
「なるほど、だから僕にログを追えと言うんだね」
「すまない、よろしく頼む」
東はそう言うとモニターに向かう。
これは半分フリで更に同時進行でガーデンの中に入っている。
東 京太郎。
これがガーデンを作った神様が日本で生きていく為の仮の姿。
紆余曲折を経て地球の神の所に身を寄せた神は外敵からガーデンを守る為にPC上に作られたサンドボックス環境に世界を創造した。
PC上と言っても命は本物だ。
東の後ろ姿を見守る俺の元に再び着信が入る。
妻の千明からだった。
普段から俺の仕事を理解している千明が何度も電話をかけてくるのは珍しい。
俺は電話を取る。
「もしもし」
「あなた!大変なの!千歳が…千歳が!!!」
千歳?
千歳はツネノリの事を知ってしまって荒れてしまって…
「どうした!?」
「今、帰宅したら千歳が…」
どうしてもその言い方に悪い考えばかりが出てくる。
「千歳がVRでセカンドに入ってしまっていたの!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます