第二十一話 たかが物理的距離なんて①
一時間目は現代社会のテストだった。
志穂からは70点は固いというメールが届いた。
ここまでは順調だ。しかし二時間目は志穂が苦手としている教科の一つである英語だ。
今の実力なら赤点回避どころか半分にも届くと思う。だが分からない問題がきて焦れば一気に持っていかれる。
ここで赤点を取れば進級も怪しくなってくる。何か対策はないか。
昨日は志穂の手前、俺が何とかすると言ったが今のところ明確な作戦は思い付かない。
いや、思い付いたのだが、これは現実的な方法じゃないと判断し選択肢から消してしまった、
そんなことを考えている間にチャイムが鳴ってしまった。テストが配られると、一度志穂の方に視線を向けた。
今のところ問題は無さそうだ。
近くの席だったら良かったのだが、俺が窓側の一番後ろで、志穂が扉側の一番前。対角の位置だ。
開始から十分が経過した。そこで俺の不安が的中した。明らかに肩が震えているのだ。
遠くであまりよく見えないが良いコンディションではないのは間違いないだろう。
志穂と勉強をして分かったことがある。何問か連続で分からない問題に当たると焦ってしまい。一気にペースを下げてしまう。
どうする俺....。時間はあまりない....。
昔の俺ならもっと生産的な、悪くいうと切り捨てる行為を選び、自分のテストに全てを賭けていただろう。勉強は真剣に教えた。手を抜いたつもりは無い。この時点で、必要以上のことをする必要がないのだ。
全く俺はいつからこんな非生産的な考え方をするようになったのだろう。
...だが、そんな今の自分が案外嫌いではない。
その時、一度捨てた考えが頭をよぎった。
これしかない。そう決めると俺は全神経を使って再びテストを解き始めた。
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