第二十話 テスト前日
志穂の家に勉強を教えに行った日から一ヶ月が立った。
特に変わったことはなくいつも通り月曜日は図書館で桃山に勉強を教え、週一で志穂の家に勉強を教えに行く生活をしていた。
そしてテスト前日の今日、俺は今週二度目となる志穂の家に足を踏み入れていた。最終確認をするためである。
ここ一ヶ月で苦手だった英語と数学の実力はかなり上がったと思う。俺の教えもあるが、やはり志穂の飲み込みの早さが一番の要因だと思う。
今日の勉強は全体の復習に時間を使った。
そして夕食の時間になった。最早、俺と志穂と葵ちゃんで夕食を囲むのが恒例となっていた。
「おねーちゃん!明日のテスト大丈夫そう?」
「うん!今までのテストの中で一番自信あるかも!」
「すごい!おにぃちゃんのおかげだね!」
「ありがとう。葵ちゃん。」
「おねーちゃん!さっきわたしも一個英単語覚えたんだよ!」
「えー圭に教えてもらったんだ!どんな単語教えてもらったの?」
~~~
そして全員が食べ終わり、葵ちゃんはテレビを見始め、志穂は皿洗いを始めた。
「俺も手伝うよ。」
「いいよ!これはうちの仕事だから!」
「いつもおいしいご飯食べさせてもらってるのになんもお礼できてないしな。全然足りないと思うが、恩を返したくてな。」
「.....うちの方が圭から多く貰ってるわよ。わかった!皿拭きお願い!」
「任せろ。得意分野だ。」
「皿洗いに得意不得意もないでしょ!」
そして少し、無言の時間が流れる。
「お前、妹の前だからあんな強く出たんだよな。」
そして俺が夕食の時に気づいたことを口にした。
「........確かにちょっとは不安だよ。でも圭があんなに教えてくれたし、今までで、一番自信あるのは本当だよ。」
「....なるほど。じゃあ俺から最後にアドバイスをやろう。」
「え?」
「焦るな。」
「...それだけ?」
「意外に焦るんだよ。テストは。俺も焦る時はある。」
「.......もし焦ったらどうすればいい?」
志穂が不安な顔で聞いてくる。
「そうなったら俺が何とかしてやる。」
「.......うん。」
~~~
「それではテストを始める。」
先生の声で一時間目のテストが始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます