第十六話 古内志穂は勉強ができない。
その後LINEで桜と話し合った結果、古内志穂を職員室に呼んで、成績の話をして脅し、教室で俺が交渉に持ち込むという流れに決まった。
早速、帰りのホームルームで桜は志穂に職員室に来るように命じた。これで俺は教室で待っているだけである。
そして帰りのホームルームが終わってから三十分後、教室には誰もいなくなった。外からは部活動に勤しむ生徒の声が聞こえてくる。まだかまだかと待ちくたびれていると、ようやく彼女がやってきた。
「あれ、あんた......進藤よね。なんでまだ残ってる
の?」
「まぁ、たまたまだよ。それよりお前職員室で何の話されたんだ?」
「べ、別にいいでしょ......。うちの話は......。」
「そうか。そういえば、お前塾に通っているんだったな。」
「は?なんで知ってるわけ?」
彼女は俺を露骨に怪しんでいる。
「俺の友達が塾でお前の事を見たって言ってたんだよ。」
もちろん嘘だ。
「何なのよ。いきなり。うち帰るから。」
彼女は足早に去ろうとした。これはもう直球勝負でいくしかないか。俺は勝負をしかけた。
「お前、進級厳しいらしいじゃないか。」
「は!?どこでそれを!?」
「別にどこでもいいだろ。」
彼女は目に見えるようにたじろいだ。
「そこで交渉だ。俺がお前の成績を上げてやる。」
「は?なんで見ず知らずのあんたにそんな事言わなれなきゃいけないわけ?」
「だから交渉といってるんだ。ただ言えるのは俺がお前の成績を上げることができる。それだけだ。」
「ほんとに?」
「あぁ。ほんとだ。」
「なんでそんな事、私に言うわけ?あんたに交渉に出せるものなんてうちには無いわよ?......まさか身体じゃないでしょうね......?」
「そんなのは彼氏とでもやってろ。」
「は?私、彼氏いませんーー。」
閑話休題。
「お前に交渉に値する事がひとつある。桃山恵の親友ということだ。俺はあいつの事が好きだ。付き合いたい。だから力を貸してくれ。あくまで内密にな。」
「はっ!?あんたが恵のことが好きなわけ!?それは意外だった。でも、恵には拓斗がいる。あんたには無理よ。」
「だから、こうしてお前に頼んでんだよ。俺は遠藤から、桃山を奪い取る。それでお前はどうする?」
彼女はそれから五分くらい、沈黙した。その間、俺は彼女の事をずっと眺めていた。そして彼女が口を開いた。
「......ほんとにうちの成績上げれんの?」
「あぁ。約束してやる。」
「うち、結構バカだよ......?」
「知っている。だから俺が教えるんだろ。」
「恵のこと拓斗から奪えないかもよ......?」
「それは、俺の責任だ。」
「............あのさ。」
「なんだ?」
「私に勉強教えてくれない?」
「任せろ。」
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