第十五話 密談と古内志穂について。
放課後になって教室に桜はやってきた。
「おう、待ってたぜ。」
「それで話って何?」
桜と少なからず話してみて分かったことはやはり、先生というだけあって頭の回転が早い。そのおかげでこっちも話が早くて助かる。
「端的に言うと古内志穂の情報が欲しい。」
「古内志穂?」
彼女は俺の意図を考えてるようだった。
「あぁ。どんな情報でもいい。」
「そうね......まず彼女の家庭の話だけど、とても恵まれた環境だわ。きっぱりいうとお金持ちだわ。両親がとてもいいところの会社で働いているわ。」
なるほど。お金はもっているのか。その点では揺さぶることは出来なそうだな。
「次に学校の話。部活動には入ってないわね。だけど、運動神経抜群で色々な部活動の助っ人を頼まれているらしいわ。」
おいおいまじかよ。もしかしてかなり出来た人間なのか?あいつは。
「だが、彼女には一つ問題があるわ。」
「問題?」
「成績よ。一年の時も進級ギリギリだったらしいわ。塾にも通っているが中々成績が伸びないらしいのよね。このままだと今年伸びなくて進級は厳しいと思うわ。」
聞いた瞬間これだと確信した。これを利用すれば、彼女の協力を得れるかもしれない。あとは彼女と二人になる瞬間がほしい。
「大体わかった。後はここで聞いてもいいが、生徒と教師が長いこと一緒の教室にいるのも怪しいだろうし、LINEにするか。交換するぞ。」
そう桜に言うと彼女は携帯を取り出し、画面を見せてきた。友達という欄には五人しか登録されていなかった。
「なんで五人しか友達いないんだよ!?」
「必要ないわ。連絡も家族だけ入れてれば十分だし。友達なんて元々いないもの。進藤くんもほんとに私なんかと交換していいの?」
だからこんなに少ないのか。俺は彼女に対し、思ったことをそのまま口に出した。
「俺も確かに友達は少ない。家族以外は滅多に連絡なんて取らないし、お前の気持ちもわかる。それに今、桃山を奪略するため、お前を利用している。だが俺は自分の駒は放っておけないタイプなんだよ。もし、お前になんかあったら俺が助けてやる。しかも好きな人まで一緒だ。その関係は表から見れば友達にみえると思うけどな。」
そう言うと俺は彼女の携帯を奪い取り、無理やり友達になった。彼女はLINEの画面をみて目をそこから離さない。
「それじゃあ、後はLINEでな。」
最後にそういうと、帰路につくことにした。
夕日のせいだと思うが、彼女の頬はほんのり紅く染
まっていた。
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