第十三話 新たな週と新たなターゲット

あれから土日を挟みクラスの雰囲気も大分元に戻ったと思う。


やはり謝罪文とお金が効いたか。流石にあの金額が入っていたら、人間はその事実を疑わない。高校生の五千円はクラスの雰囲気を変え。それほど俺らにとっては価値あるものだ。


彼女も週明け休むことなく登校している。そんな事を図書館で考えていると、後ろから肩を叩かれた。


そして振り返ると俺の頬が彼女の指に衝突した。


「お待たせ!今日もよろしくね!」



あーかわいい。何も考えられない。いつもそんな事は滅多に無いのに恋とは恐ろしきものだ。俺は素早く、脳を切り替えた。



「よろしくな。」



俺はあの事件の事に触れるか迷ったが、彼女を心配しているという姿勢を見せた方が好感度が上がると判断し、言葉を続けた。


「なんだ、その、色々大変だったな。教室で桃山の元気ない姿をみて......とても心配してた。」


「......うん。......心配してくれてありがとね。犯人も文面だけどちゃんと謝罪してくれたし、それに財布も潤ったからね~。今はもう全然元気だよ!流石に盗まれたものは捨てちゃったけど。」

彼女が笑顔をみせた。深い傷もおって無さそうだし、大丈夫だろう。


「それならよかった。」


「うん!気持ち切り替えて!勉強会始めよっか!来月には中間テストもあるからね。」


こうして俺にとって至福ともいえる二時間はあっという間に過ぎていった。


「今日もありがとね!次の勉強会はLINEで日程決めよっか!」


「あぁわかった。」


月曜日にするか。


「あ、志穂から電話来てた!全然気づかなかった。悪いことしたなぁ。またカラオケの誘いかな。」


「そんなに古内と仲良いのか?」


「うん!私の親友だよ!」


「そうか。」


「じゃあお先に失礼するね!また明日学校で!」


そう言うと彼女は図書館を出ていった。

.


.....古内志穂か。桃山奪略作戦には欠かせない駒だな。


どうやって手に入れるか。


出来れば桜と違って脅すだけではなく、持ちつ持たれつの関係を形成出来れば、理想的だ。


しかし、俺は彼女の事についてほぼ知らない。強いて言うなら見た目で分かるがギャルという情報しかない。


これは桜の出番か。明日、聞いてみるとするか。そんな考えにふけっているといつの間にか、周りには俺しかいなくなっていた。

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