第三話 からかい上手の桃山さん。

別に一年生だった頃、何もしていなかった訳では無い。


高校三年生までの授業全てを予習した。


そして大学の入試勉強もある程度終わっている。なので残り二年は彼女奪略作戦に心置き無く時間をさくことができる。


そして運がいいことに今年は.......。とそんな事を考えていると後ろから肩を叩かれた。誰だ?と振り返るとそこには桃山恵が立っていた。


「おはよう!元気!」


「お、おう。」


急に話しかけられ、びっくりし返答がおかしくなってしまった。


.......初めて声をかけてもらえた。


喜びを隠せない俺をみて桃山は呟いた。


「大丈夫?勉強の邪魔しちゃった?」


「いやいや全然大丈夫。」


表向きは勉強にみえるが脳の中は彼女奪略作戦のことで頭がいっぱいだった。


「それでなんか俺に用?」


「うん!君、この学年の首席なんでしょ?」


「あ、まぁ。」


「なら今度勉強教えてよ!いつもは拓斗に聞くんだけど、今サッカー部とか忙しくらしくて。」


なるほど。だから俺を頼ってきたわけか。しかしこれは彼女との距離を縮めるチャンスだ!しかしここは首席らしくクールにいこう。

「あぁいいよ⤴︎ 」


盛大に声が裏返ってしまった。これはやってしまった。どうしよう。全然かっこよくないじゃないかこれでは!!!


「ふふ。変なの。それじゃあよろしくね!」


笑ってくれたのでよかった。彼女の前だと緊張してしまう。その癖を直さないと、これからの作戦に悪影響を与えてしまう。


「そうだ。もし私の点数があがったらハグしてあげる!!」



「え?」

えーーーーーーーーーーーー。そんなの本気で頑張っちゃいますけど。死ぬ気で頑張っちゃうんですけどーーーー。


「えへへ。冗談だよ!アイスとかジュースでいいかな?」




だ、だよなー。軽い女の子じゃないと分かって嬉しい半面、とてもかなしい。


「あぁー全然大丈夫だ。」



そうして彼女は女子のグループへと帰っていった。

そう。彼女と同じクラスになれたのだ!これは日頃からの行いのおかげか!?さらに勉強の約束まで!


作戦が一歩前進したような音が聞こえた。


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