エピローグ
結婚式
「新郎様。着苦しいでしょうか?」
「はい。大丈夫です……」
「わかりました。それでは新婦さまの準備が出来次第、お声をかけます。なにか問題などございましたらお声をかけてくださいませ」
「わかりました……」
スタッフがお辞儀をし俺一人となっていた。
俺とアリスは、
今日、結婚をいたします。
高校を卒業をし、両親にアリスと付き合っていると言ったらあっさりと承諾をしてくれた。
「まさかな……許してくれるなんてな」
そこからは二人で同棲でお金を貯めていて。カヲルさんの紹介で結婚式を今日上げた。
「……」
現実味があるようでないようなそんな感覚だった。
コンコンっ!
誰かが部屋に入ってきた。
「ん?」
タッタッタ。と足取りにそっちの方を振り向くと、
「――っ!?」
そこに現れたのは高本先輩だった。
「どうして……」
先輩には招待状は送っていない。住所などわからなかったからだった。
「やあ、健太くん。アリスさんとの結婚おめでとう」
「ありがとうございます……でもどうして先輩がここに居るんですか?」
「あぁ、彼女に健太くんとアリスが結婚すると聞いてね。それで一緒に参加をしたんだ」
「彼女?」
「あぁ……」
先輩が一歩さがるとそこに現れたのは茉莉奈だった。
「ご結婚おめでとうございます……健太さん」
「茉莉奈さん⁉ どうして先輩と一緒にいるの?」
なんでこの二人がいるのか全くもってわからなかった。
「俺たち、付き合っているんだ……。今は同棲をしている」
「えっ!?」
茉莉奈の方も何度も頷いていた。
「それはおめでとう。ございます」
「ありがとう」
高本先輩が笑顔で頷いていた。
「付き合っていたんですね……」
「あぁ……。まあ俺が大学で通っている中で本屋でバイトをしていてね。それで彼女が受験だったかな? それで勉強を教えているなかで彼女のことが好きになってそれでプロポーズして、今は同棲をしている」
「えっおぉ……」
先輩の話が凄すぎる。
「じゃあ行こういっくん」
「あぁ、まっちゃん。それじゃあ改めて結婚おめでとう健太くん」
「あっはい……」
二人腕組をして部屋を出た。
「はぁ……」
まさかあの二人が同棲しているなんて思いもしなかったな……。
「……」
数十分後。ソウスケが顔に出しに来た。
「よお、どうだ?」
「あぁ……」
ソウスケの顔を見れた瞬間、なんだか安心した。
「まあ、なんていうか本当にアリスと結婚できるんだなっていう気分かな」
「そっか……。なんか飲むか?」
「じゃあオレンジでもいただくかな」
「了解」
ソウスケがフロントに飲み物を注文しオレンジが届いてきた。
「それで美咲は?」
ソウスケが俺と自分の分のコップを用意し注いでくれた。
「んっ? アリスのところ。俺も美咲と一緒にさっき顔出してきたけど綺麗だったな」
「そっか……」
アリスが綺麗か……少し前にアリスと一緒にウエディングドレスを選んだけどソウスケたちが綺麗だっていうなら間違いないか。
「ありがとうな。結婚の誘ってくれて」
「当たり前だろ親友なんだから」
「そっか……」
注いだオレンジを俺の分を渡してきた。
「じゃあ乾杯……」
「乾杯」
ソウスケのグラスの方に向け、カチンッ! と鳴らし、お互いの仕事をして数十分ぐらい話をしていたらスタッフがドアを叩いてきた。
「失礼します新郎様。新婦様がお呼びです……」
「えっ? アリスが?」
俺はまだ飲んでいたコップを机の上に置きスタッフのところに向かった。
「それではご案内します……。新婦さま大変喜んでいましたよ」
「はい?」
喜んでいたって何がだろうか?
スタッフの後を向かおうと部屋を出ると美咲と遭遇した。
「あっ。おぉ……意外と様になっているわね」
「意外とって何だよ」
「ごめんごめん」
美咲が謝っていた。
「一応、スタッフさんにも言ったけどアリスが改めて見て欲しいそうよ」
「えっ……」
美咲の方を見ると頷いていた。
多分ウエディングのことかな。
すると耳元でささやいていた。
「ちゃんと綺麗って褒めてあげなさいよ」
「それはわかっている……。アリスには綺麗って毎日言っているけど今日は最高に綺麗って伝えるよ」
「そう、……それはアリスは幸せ者ね」
そう呟くと俺の肩を叩いてきた。
「それじゃあ私たちは席で待っているから行こうソウスケ」
「わかった。じゃあなケン!」
「あぁ……」
二人に挨拶をし、俺はアリスが待つ部屋へ訪れた。
「新婦様。新郎様をお連れしました」
「「は、はい! ど、どうぞ‼」」
よっぽど緊張しているのかアリスの裏返った声が聞こえた。
そしてスタッフが飛びらを開けた瞬間。
「――あっ!」
素敵なドレスに可愛いメイクをしていたアリスが立っていた。
「あっ……」
思わず声が消えてしまうほどに綺麗で、美咲がさっき言った言葉がなかなか出なかった。
「……どう? かな」
アリスが小さく服を摘まみクルッと回ったが本当に予想を超える綺麗な女性が目の前にいた。
「き、綺麗です……」
「――っ!」
するとアリスの顔が赤く頬を染めていた。
「ありがとう」
「……」
こう改めてみると心臓がバックンバックンと動いていて今すぐにでも彼女を抱きしめたくなってしまった。
「……うん」
アリスが小さく頷いた。
「ありがとうケン。ウエディングドレスを着させてくれて」
「当たり前だろ。アリスがこうやって喜んでくれるなら俺は嬉しいよ」
「――っ! うん」
そしてアリスはまた小さく頷いた。
「それと……ちょっと待ってて少しだけ気持ちを整えてから式に向かうから」
「わかった」
俺は頷き。スタッフがまた俺の部屋に案内し、残っていたオレンジを飲んでいた。
「あぁ……」
本当に予想以上の可愛さで心臓が止まるかと思ってしまった。
「……やばいな」
式が終わるまで俺は待てるのか?
そして20分ぐらいしてから係員の人に呼び出されて俺は式の方に向い。
アリスを待っていた。
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