たこ焼き

 本当に凄い人の数だ……。

 子供同士やカップル。大人も沢山集まっている。

「それでアリス。まず何から買うんだ?」

「えっと、えっと……」

 キョロキョロと屋台を見ていて一ヶ所に指をむけた。

「たこ焼き食べてみたい!」

「わかった」

 たこ焼き屋に向かい2パック買って1つをアリスに渡した。

「熱いから気を付けろよ」

「うん。ありがとう」

 爪楊枝つまようじで一個取って噛むと外がカリっとして中の生地もふっくらしている。ソースとマヨネーズ。両方あるだけでなんでこんに美味しんだろう。

「う~ん! 美味しい」

 口にソースがベタベタにてくっついていた。

「ほら。周りに付いてるって。浴衣を汚すぞ」

 ハンカチで口周りを拭いてあげる。

「えへへ。ありがとうケンにぃ」

 たこ焼きを食べ終え燃えるゴミ箱に捨てた。

「そうえいばアリス。お守り欲しいとか言ってたっけ?」

 するとアリスが顔を真っ赤にしていた。

「え!? そ、そういえば言ってたような気がするけど……」

 まあ数日前にテレビを見ながらちょこっと聞いていたんだけど。

「それで何が欲しんだ? 交通とか?」

「いや、その……。え、縁結びが欲しくて」

「縁結び!?」

 え……ウソ。アリスに好きな人がいるのか? まさか……!

「誰かと付き合って、いる、のか?」

 出来ればいて欲しくはないと思ってしまった。自分の知らないところで彼氏がいるなんて…………。

 でも、そっか。アリスもお年頃だもんな。誰かを好きになるのも仕方がない……。

「……出来ればで良いから彼氏を紹介して欲しい。あっ! 無理にとかじゃなくて良いからな!」

 アリスは、首を振っていた。

「ち、違うよケン! そうゆうんじゃなくて。ア、アニメで縁結びの話が出たから欲しかっただけ!」

「アニメ?」

 そうえいばアリスと見ていた時、アニメキャラが縁結びを渡していた。それで縁結びか……。

「そっか……。なんだよ驚かすなって」

 いきなりアリスが縁結びとか言うから心臓が飛び出すかと思った。

「それじゃあ。お守りをこの後に買うか?」

 アリスは首を振っていた。

「ううん。まだ屋台を探索したいな……」

 そうだよな。色々と見て回りたいな。

「わかった行こうか」

「うん」

 アリスの手を引いて探索を続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る